都心部の駅を中心に整備が進められ、少しずつ設置されている駅が増えてきた小田急のホームドア。
2022年度は本厚木に設置される予定となっており、最も起点から離れた設置駅となります。

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2022年度は一駅のみの設置となりますが、今後小田急がホームドアを設置するペースを加速する可能性はあるのでしょうか。

小田急におけるホームドアの設置状況

車両や設備の面で制約があり、ホームドアの設置が一気には進められなかった小田急ですが、都心部の駅を中心に少しずつ設置が進んできました。
設置された当初は違和感があったものですが、見る機会が増えたことで利用者にも徐々に浸透しつつあるようです。

小田急がホームドアの設置を本格化するまでの経緯や、今後の設置計画については、過去に公開した以下の記事をご覧下さい。



あまり状況に変化はありませんが、最新の設置駅については以下のとおりとなっています。

・新宿(4・5・8・9番ホーム)
・代々木八幡
・代々木上原
・東北沢
・下北沢
・世田谷代田
・梅ヶ丘
・登戸

前回の記事を書いた時点と比較して、新宿で設置されたホームが増えている状況です。
2022年度については、本厚木の1番ホームと2番ホームに設置される予定となっており、下り線で先行して使用を開始する計画となっています。

小田急がホームドアの設置を加速させる可能性

本厚木にホームドアが設置されることは、2022年度の鉄道事業設備投資計画で発表されました。
発表の中では他にもいくつか気になる記述があり、今後ホームドアの設置を加速する可能性が示唆されています。

まず、今回ホームドアが設置されることになった本厚木は、特急の停車駅としては初の設置となります。
ホームドア自体も特急型車両に対応した大開口のものが採用されるようで、50000形(VSE)が定期運行から引退したことで、特急停車駅のホームドアの仕様が決定できたということなのでしょう。
1000形のワイドドア車が引退し、50000形も定期運行がない状況となることで、設置が可能な駅は一気に広がることとなります。

そして、注釈で簡単に触れられている程度ではあるものの、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、整備を加速させることも検討されています。
鉄道駅バリアフリー料金制度は、鉄道施設のバリアフリー化を加速させることを目的とした制度で、ホームドアも対象に含まれます。
利用者に薄く広く費用を負担してもらうことで、整備を進めるための費用を早期に確保するためのものです。
既にJR東日本や東京メトロが制度の利用を決めており、今後他社にも波及していくものとみられます。

小田急も今後制度の利用を決める可能性が高いと思われますが、これらのことから見えてくるのは、設備を整えるためにはコストがかかるという現実です。
新型コロナウイルス感染症の影響により利用客が減少する中で、ホームドアの設置を進めることは厳しかったというのが本音でしょうが、この制度によってその点の問題も解決へと向かい、車両面の整理も済んだことから、今後設置のペースが上がる可能性が高いのではないでしょうか。

その一方で、安全で守られる環境というものは、利用者の負担によって成り立つものであるということも、同時に忘れてはいけないことなのだと思います。
利用者の負担は増えることになりそうですが、それによって助かる人がいることも事実であり、より一層安全な鉄道、小田急が実現することを願っています。

おわりに

制度の利用がどうなるかについては、今後決まり次第の発表となるのでしょうが、それによって設置のペースがどの程度加速するのかについても気になるところです。
また、現在発表されている駅以外にも設置が広がるのか、今後の展開から目が離せなくなってきました。