東京メトロの千代田線やJR東海の御殿場線にも乗り入れを行い、愛称どおりのマルチな活躍が目立つ小田急60000形(MSE)。
4両が3編成、6両が5編成、合計で42両が製造され、現在も第一線での活躍が続いています。

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その一方で、初期に製造された編成はまもなく登場から15年を迎え、50000形(VSE)が定期運行から引退して以降は、比較的接客設備が古い車両ともなりつつあります。
今すぐに大きな動きがあるということはないのでしょうが、数年先のことを見据えた場合、MSEには今後リニューアルが行われるのでしょうか。

登場から15年が近付きつつあるMSE

2008年3月15日に営業運転を開始したMSEは、2007年の夏に最初の編成が入線しました。
営業運転を開始する前にもかかわらず、2007年のファミリー鉄道展で展示される等、何かと話題が多いロマンスカーであり、最終的に42両が製造されています。

2022年は最初の編成が登場してから15年を迎える年となっており、VSEが定期運行から外れたことに驚きつつ、MSEもそれなりの車齢になってきていることを実感します。
MSEは増備の期間が比較的長く、そのあたりを整理するために、まずは各編成の竣功日を見てみましょう。

60051F:2007年12月14日
60052F:2012年2月14日
60053F:2015年12月10日
60251F:2007年12月10日
60252F:2007年12月19日
60253F:2009年11月16日
60254F:2012年2月1日
60255F:2015年11月19日

最新の編成は2015年に増備されていますが、これは30000形(EXE)のリニューアルに伴う予備車を確保するためであった可能性が高く、結果的に長期に渡って増備されたロマンスカーとなりました。
初期車は登場から15年となる時期が近付いていますが、他のロマンスカーは登場からどれぐらい経過した時期にリニューアルを行っていたのでしょうか。

各形式が登場から何年でリニューアルや車体修理を開始したのかをまとめると、以下のとおりとなります。

3000形(SE):27年
3100形(NSE):21年
7000形(LSE):16年
30000形(EXE):20年

年数には差があるものの、SEは最低限の延命措置だったと考えると、20年前後が判断の時期となりそうです。
LSEは比較的早期の施工であったことが、他の形式との比較で見えてきます。

MSEのリニューアルは行われるのか

過去の傾向を参考にした場合、MSEはあと5年程度でリニューアルの時期を迎えます。
そこで気になるのが、VSEの引退理由の一つに、アルミニウム合金製のダブルスキン構造の車体であることで、改造がしにくいという点があったことです。

VSEの引退には様々な理由が複雑に絡んでいますが、MSEについても同様の車体構造を採用していることから、車体に手を入れるような改造がしにくいというのは同じとみられます。
EXEをEXEαとしたような大々的な改造が難しい場合、大規模なリニューアルは行われない可能性があります。
増備の期間が長いということもあり、同時期にまとめてリニューアルを行いにくいという事情も厄介でしょう。

しかし、登場から15年も経てば機器の故障や痛みも目立ってくる頃でしょうから、簡易的な修繕を行いつつ、使っていく可能性もありそうです。
そうなった場合は2000形のパターンに近く、大規模な更新をせずに30年ぐらいは使えそうですが、特急型車両で走行距離が長いことを考慮すると、もう少し短くなるのかもしれません。

あと10年ぐらい経つと、通勤型車両の置き換えが一段落していそうですから、そういった意味でも可能性はありそうです。
一つ気になることがあるとしたら、その頃にはEXEαも置き換えの時期が近付きつつあると思われるため、そのあたりとのバランスをどうするのかという点も気になるところです。

EXEαとの関係を考えると、可能な範囲でのリニューアルを行い、延命を行う可能性も捨てきれません。
MSEのリニューアルを行わない場合には、また後輩のほうが先に廃車となるケースが発生してしまうのかもしれませんね。

おわりに

増備の期間が長かったせいか新しく感じるMSEですが、初期の編成は更新の時期が近付きつつあります。
VSEほど問題点は多くないものの、車体の構造が今後どこまで影響してくるのか、まだまだ使う以外の道がないと思われるだけに、どう対応していくのでしょうか。