新形式となる5000形が2019年に登場し、通勤型車両の置き換えが進められている小田急。
1000形の未更新車を中心に置き換えが進められる中、最古参の8000形は現在も多くが元気に活躍しています。

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小田急で通勤型車両の置き換えが行われるのは、先代の5000形が形式消滅をして以来となりますが、2000年代に通勤型車両の大量置き換えが進められた際と、類似している点が見えてきました。

古い通勤型車両が増えている小田急

昭和の終わりから平成にかけて、小田急では非冷房の中型車の置き換えが集中的に行われ、その後は輸送力を増強するための増備が進められました。
それらの中心的な役割を担った車両が、前者は8000形、後者は1000形であり、8000形と1000形を合わせて、約10年で356両の車両が製造されています。

1982年の終わりに最初の編成が登場した8000形は、初期車を中心に車齢が40年に迫りつつあり、徹底的なリニューアルが行われているとはいえ、古い車両となりつつあります。
これは1000形についても同様で、最も新しい編成でさえ車齢は30年に達しつつあるのです。

小田急が1年で増備をする通勤型車両は40両前後のことが多いため、356両の車両を全て置き換えるのには9年程度を要することになり、毎年コンスタントに5000形との置き換えを進めたとしても、2030年近くまでかかる計算になります。
8000形の置き換えがいつから本格化するのかは分かりませんが、車齢の面だけに目を向ければ相当古い車両であり、製造から30年以上を経過する車両が小田急では大量に在籍する状況となっています。

2000年代の大量置き換え期との類似点

小田急で通勤型車両の置き換えが本格的に行われるのは、2000年代以来のこととなります。
2000年に2600形の編成単位での廃車が開始されて以降、4000形、9000形、5000形の順に廃車が進められました。
最初の編成が登場してから35年前後の時期に廃車が始まっており、8000形や1000形も同様の時期となりつつあるのです。



以前も5000形と9000形の廃車順序が入れ替わっていますが、8000形と1000形のケースも事情は違うとはいえ似ている面があります。
9000形は若干短命、5000形の4両は長生きをしたというものですが、1000形が短命で8000形が長生きをしている状況とリンクします。

さらに、置き換えが必要な車両の両数も似ています。
2600形から5000形まで、置き換えられた車両の両数は以下のとおりです。

2600形:120両
4000形:92両
5000形:60両
9000形:90両

これらを足すと362両になり、8000形と1000形を足した両数と近くなります。
しかし、小田急に詳しい方は5000形の6両編成が含まれておらず、120両分が抜けていることに気付くと思います。
8000形と1000形が増備された期間は約10年ですが、2600形、4000形、5000形の4両編成、9000形の大多数が増備された期間もまた、10年前後となるのです。
中間車の増備等があり、実際には少しだけ遅れて増備されている車両もあるのですが、大多数の車両は10年ほどで出揃っていました。

車齢が35年前後の車両が350両程度あり、それらの製造期間が約10年、2000年代と小田急の車両が抱える事情はよく似ています。
さらに、中型車が早期に廃車となったことで、2000年代まで編成単位での置き換えがなかったことも、5000形の6両が早期に廃車となり、しばらく通勤型車両の置き換えがなかった状況と共通します。
今後8000形の置き換えが本格化するかどうかは分からず、予想外に2000形の廃車が先行するといった可能性もありますが、状況だけを見ればあの頃とよく似ていると私は思うのです。

おわりに

1000形の未更新車が次々に姿を消し、車両の若返りが進みつつある小田急。
新しくて快適な車両が増えるのは嬉しい反面、古い車両が消えることは、やはり鉄道ファンとして寂しい気持ちもありますね。