遊園地のよみうりランドとは若干離れているものの、小田急側の最寄駅となっている読売ランド前駅。
優等列車も含めて、各駅停車扱いとなっている列車しか停車しない駅ではありますが、駅からバスに乗り換えることで、比較的楽に遊園地まで行くことができます。

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そんな読売ランド前ですが、よく見ると施設名は平仮名なのに対して駅名は漢字です。
なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

西生田として開業した読売ランド前

読売ランド前は1927年4月1日に開業した駅で、小田急の開業と同時に設置されました。
開業当初の駅名は西生田でしたが、小田急の開業前には生田村を舞台にした紛争が発生し、二つの生田駅が設置されることになったという経緯がありました。



こうして東生田と西生田が誕生しますが、遊園地の開業に伴い西生田は1964年3月1日に現在の駅名に改称し、同日に東生田も生田へと改称されました。
遊園地の最寄駅となったものの、施設からは少々離れているため、その後開業した京王よみうりランド駅のほうが利便性は高くなっています。

なぜ小田急の駅名には漢字の読売が使われているのか

最寄駅が二つある遊園地となったよみうりランドですが、京王の駅のほうが施設に近いのに、小田急の駅名には「前」が付いていたり、漢字表記だったりと、少々ややこしい状態になっています。
これらは全て時系列のいたずらが関係しており、是正されずに今日まで続いています。

まず、遊園地の開園に先立ち、1964年3月1日に小田急の駅名が読売ランド前に変更されました。
遊園地は同年の3月19日に開園し、当初は読売ランドという漢字表記でした。
開園当初は漢字表記が正式名称だったため、小田急はそれに合わせた駅名となったのです。

しかし、漢字表記の時代は短く、1968年には施設名がよみうりランドへと変更されます。
1971年に開業した京王の駅は、変更後の施設名を駅名に冠したため、京王よみうりランドという平仮名の表記となっています。

こうして小田急の駅名だけに漢字の表記が残り、今日まで50年以上ややこしい状態が続いていますが、駅名を合わせる動きはありません。
駅名の変更はお金がかかり簡単ではないものの、色々とおかしな状態が長く続いてしまっており、利用者視点では少々分かりにくいといえそうです。

おわりに

遊園地が閉園しても向ヶ丘遊園の駅名がそのままだったりと、施設名を駅名にすることは後々厄介な問題を生むケースが多いようにも感じます。
そういう点では、最近多く見られるようになってきた副駅名は、現実的な対応策なのかもしれませんね。