昔の小田急では、同じような前面デザインの車両が多く走っていたことから、それを小田急顔と呼ぶようになりました。
最後の小田急顔である5000形が2012年に引退してから、2022年は10年目となりますが、馴染みのない世代も増えてきていると最近は実感します。

長期に渡って同じような前面デザインの車両が製造されていましたが、小田急顔で小田急顔の車両を置き換えたことはあったのでしょうか。

長期に渡って製造され続けた小田急顔の車両

一昔前の小田急では、同じような前面デザインの通勤型車両が沢山走っていました。
あまりにも多かったため、小田急顔と呼ばれることもあるほどで、小田急といえばこの前面デザインを想起する方もまだまだいらっしゃるでしょう。
ロマンスカーがいることで、同じ顔の車両ばかりという展開にはなりませんでしたが、それでも小田急の通勤型車両は似たり寄ったりという時期が長く続きました。

さて、そんな小田急顔の元祖はどの車両からなのか、それを定義するのはとても難しいのですが、1600形あたりからは小田急顔としてよいと思っています。



小田急顔の車両は5000形まで続き、6両の5270Fが最後に登場した編成となりました。
5000形は小田急顔の完成形であり、車両全体で見れば最終的にはかなり洗練されたスタイルとなっています。

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小田急顔の車両は長期に渡って製造が続けられ、編成数ベースで8割以上という時期もありました。
現代の3000形を超える比率であり、細かい部分に差異があるとはいえ、一般の乗客からすればほとんど同じ車両に見えていたことでしょう。

小田急顔の車両同士での置き換え

長い間小田急顔の車両が製造され続けたことで、小田急顔の車両同士での置き換えが行われた時期がありました。
新幹線の0系が、古い0系を置き換えたことに比べればインパクトはありませんが、同じような見た目の車両同士で置き換えを行った時期は確実に存在したのです。

その始まりは1970年前後でしょうか、この頃は1600形の廃車が行われていますが、その頃に増備されていた車両といえば、5000形の4両でした。
まさに小田急顔同士の置き換えですが、前照灯に違いがあることや、車体構造や塗装が大きく違うため、同じような車両という印象はあまりないかもしれません。

1975年前後には、1900形等の一部が5000形によって置き換えられ、今度は新塗装同士、ライトは2灯と共通点が多くなります。
しかし、前面に種別幕がないといった違いはあったため、まだ少々インパクトは弱いかもしれません。

1980年頃からは、1800形、2200系列が5000形の6両に置き換えられますが、この頃になるとまさに小田急顔が小田急顔を置き換えるといった状況で、前面デザインだけを見ればほとんど変わらないような交代劇でした。
1800形は切妻の独特な車体形状ですが、最終的な前面デザインは小田急顔として揃えられていました。

おわりに

飽きるほど走っていた小田急顔は姿を消し、8000形や1000形が廃車となる時代になりました。
小田急顔は遠い過去となりつつありますが、それによって私は自らの老いを実感しているのかもしれません。