小田急には全部で70の駅があり、そのうちのいくつかには「ヶ」という文字が入ります。
鉄道会社によって駅名の表記は異なりますが、小田急の場合は小さい「ヶ」が使われ、全ての駅で統一されています。

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その一方で、駅名と地名は異なっており、百合ヶ丘と百合丘のようなややこしいケースが存在します。

「ヶ」が入る小田急の駅

小田急の駅には、小さい「ヶ」という文字が入る駅がいくつか存在します。
それらの駅は六つあり、以下のとおりとなります。

・梅ヶ丘
・祖師ヶ谷大蔵
・向ヶ丘遊園
・百合ヶ丘
・新百合ヶ丘
・桜ヶ丘

読み方は全て「が」であり、うめがおか、ゆりがおかのようになります。

これらの表記は路線によって違いがあるのが面白く、京王や西武は小田急と同様に小さい「ヶ」が使われているものの、東武では大きい「ケ」が、東急では平仮名の「が」が使われていたりします。

さて、これらの駅名ですが、ややこしいことに地名とは異なるケースがほとんどとなっています。
それぞれの駅に関係する地名は以下のとおりです。

梅ヶ丘:梅丘
祖師ヶ谷大蔵:祖師谷
向ヶ丘遊園:向ケ丘・向丘
百合ヶ丘:百合丘
新百合ヶ丘:なし
桜ヶ丘:なし

地名としては存在しないパターンもありますが、ややこしいのは向ヶ丘遊園で、歴史的な経緯から両方のパターンが地名としても存在し、読み方も「むかいがおか」を中心に、いくつかのパターンがあります。

なぜ駅名と地名が異なるのか

駅名と地名が異なるパターンは、小田急に限ったことではありませんが、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。
小田急においては、駅名に小さい「ヶ」を使うという原則があり、それが結果的にこの事象へと繋がっていると考えられます。

小さい「ヶ」が入る駅について、その起源を確認するため、いつからその名称となっているのかを見てみたいと思います。

梅ヶ丘:1934年4月1日
祖師ヶ谷大蔵:1927年4月1日
向ヶ丘遊園:1955年4月1日
百合ヶ丘:1960年3月25日
新百合ヶ丘:1974年6月1日
桜ヶ丘:1952年11月25日

最も古くから駅名として使われているのは、開業時からの駅名である祖師ヶ谷大蔵でした。
こんなに昔から駅名と地名が異なっていたのかと思わされますが、当時は地名が祖師ヶ谷の表記であり、駅名がそれに合わせられたものと考えられます。
続いて誕生したのが梅ヶ丘ですが、こちらは地名に使われるようになったのが後年のことであり、あくまでも駅名が先なのです。

つまり、小田急では開業時から小さい「ヶ」を駅名に使い、後に誕生する駅名もそれを踏襲したため、このような差異が生まれるようになったと考えられます。
小田急の駅名に小さい「ヶ」が入るのは、祖師ヶ谷の地名に由来するという可能性が高いのではないでしょうか。

おわりに

なぜこのようなことになっているのだろうと調べ始めると、小さい「ヶ」に関係するややこしい経緯も知ることとなりました。
この記事ではそれらについては触れませんが、気になる方は調べてみると面白いかもしれません。