扉を閉めたのに電車がなかなか駅から出発しない、小田急を利用していると比較的頻繁に遭遇する状況です。
多くは点字ブロックの外側に人がいるためで、そのような場合に小田急では電車を出発させないようにしています。

小田急の安全に対する姿勢が強く出ている部分ですが、昔に比べて車両の長編成化が進んだことも影響しているのかもしれません。

過去に発生した事故からの教訓

他の鉄道会社と比較しても、駅からの出発時における小田急の安全確認は突出して徹底しています。
ホーム上にある点字ブロックより外側に人がいる場合、人が内側に入るまでは電車を出発させないようにしており、少々やりすぎではないかと思うほど、その運用は徹底されています。

このような安全確認は、2007年に発生した痛ましい事故がきっかけとなっており、二度と同様の事故を発生させないための取り組みとして、今日まで徹底されています。



このような運用になる前は、今とは比べものにならないぐらい電車はきびきびと出発しており、扉を閉めて素早く発車していく光景が日常でした。
素早く動きながら安全確認をする車掌の姿を見て、今とは違う憧れを抱いたものです。



この安全確認には色々な意見があると思いますが、私としては安心して乗れる鉄道として、小田急の姿勢には共感しています。
それ以外の部分においても、小田急は安全に対する姿勢が徹底しており、かなり安心して利用できるのではないでしょうか。

長編成化の弊害

小田急が出発時の運用を変更したきっかけは事故の発生ですが、その背景には車両の長編成化も関係していたと考えられます。
昔の長編成といえば優等列車で、主要駅ではホームに駅員も立っていましたから、車掌の負担は今ほどではなかったのかもしれません。

今は8両や10両の列車が多数派となり、長編成化は各駅停車にも及んでいます。
全線で10両が走るようになったことで、本厚木より先の区間でも10両が走るようになりました。
通勤型車両の10両は、小田急だと一度に開閉するドアが40ヶ所にもなり、それが各駅停車ともなれば相当神経を使うのではないでしょうか。

10両化によって、曲線部のホームにおいてはさらに見にくい状況も生まれてしまっています。
待合室のような、ホームを狭くする構造物が増えていたりもするほか、10両だと階段までの距離が遠くなり、結果としてホーム上を歩く人も昔より増えていると思われます。
そこに歩きスマホも加わりますから、安全に配慮しつつ昔のように出発させることは不可能なのかもしれません。

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今よりも乗客が少なく、車両は4両や6両が中心、そんな時代だったからこそきびきびとした発車でも問題がなかったのかもしれません。
もちろん今でも昔のような運用はできるのでしょうが、同様の事故が再び起こる可能性は十分に考えられるため、小田急がその選択肢を選ぶことはまずないでしょう。
今のような安全確認は、車両が長編成化する中では必然だったのかもしれませんね。

おわりに

駅からの出発時における安全確認は、鉄道会社によってかなり考え方が違うように感じます。
他社の様々な動作を見ていくと、小田急がかなり安全を重視していることが分かり、社風が出るなと改めて感じました。