ロマンスカーが大きく発展するきっかけを生み、今も名車として語り継がれている小田急3000形(SE)。
元々は8両編成で登場しましたが、国鉄の御殿場線に乗り入れるための改造を行う際、5両編成に短縮されました。

SEは連接車であり、一般的な車両と比較して車体の長さが短いことも特徴ですが、編成長はどれぐらい短く、それにはどのような意味が込められていたのでしょうか。

短かった5両編成のSE

短い5両編成というイメージが強いSEですが、登場時は8両編成と少し長く、編成長は約108mでした。
当時は現在のように長いホームが小田急にはなく、主力だった2200形等の中型車が、6両編成で約105mとなることに、編成長が合わせられていました。

その後登場する3100形(NSE)は、11両で編成長は約144mとされますが、これは約140mとなる中型車の8両編成に合わせられています。
通勤型車両とは車体の長さが異なるものの、編成単位ではある程度合うようになっていることが面白く、NSEの編成長はその後の標準とされました。

連接車のロマンスカーにおいて、歴代で最も短い編成長となる車両は編成短縮後のSEで、5両での長さは約70mとなっており、大型車の3.5両分ぐらいしかありませんでした。
SEが短くなったことで、SSEという呼び方もあったぐらいですが、改めて短かったということが分かります。

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現在走っている4両のロマンスカーが、SEより少し長いぐらいですから、相当コンパクトな長さだったといえるでしょう。

SEの編成長に隠されていた意味

とにかく短いと感じるSEの編成長ですが、その長さにはいくつかの意味が隠されていました。
5両とされたことには、技術的な問題も関係しているとは思いますが、編成長だけで見ても色々と考えられていたのです。

まず、SEの前に御殿場線へと乗り入れていた気動車が、最大である3両を組んだ際の長さが約61mであり、それより少し長いぐらいとなっています。
気動車の3両は多客時の最大両数ですが、SEは通常時の輸送力をそれと同等に据えたことになります。

編成短縮後のSEは編成長が約70mであり、11両で約144mとなるNSEの半分ぐらいとされていることも注目点です。
SEは多客時に2編成を繋いで運転することが可能で、その場合の編成長は約140mとなります。
つまり、2編成を繋いだ際にはNSEと同等の長さになっていました。

御殿場線への乗り入れに合わせつつ、NSEの代走においても輸送力が確保できるように、編成長は考えられていたといえます。
SEを置き換えることになった20000形(RSE)は、編成長が約142mとNSE並になりましたが、その分の余裕を特別席の車両に充てるといった、攻めの姿勢へと転じました。
このように、ロマンスカーの編成長はNSEを基準に考えられてきた面があり、現在も70000形(GSE)が7両で約142mとなっているように、ロマンスカーで大型車の10両が走るようになった今でも、伝統の編成長自体は残っています。

おわりに

今回の記事は、親しくしているねこ常務さんから編成長に関するネタを振られ、書いてみることにしました。



ロマンスカーの編成長には意味がある、改めてそのことにも気付かされることとなりました。
ネタ振りいただきありがとうございました。