利用者に車両の位置を明示し、駅や特急券の案内等で活用されている号車表示。
小田急では、旅客車両の全てに号車表示がされていますが、昔は特急型車両にのみ見られるもので、通勤型車両にはありませんでした。

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現在は当たり前に使われている号車表示は、よく見ると車両の番号とは逆の順番となっていますが、なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

車両の番号とは逆の号車表示

多くの鉄道会社において、車両はいくつかの番号を持っています。
例えば、デハ5001等の車両自体を整理するための番号、1号車等の編成内での位置を示す番号、マト1等の編成自体を整理する番号があります。
小田急においては、車両の番号と号車表示が目立つ存在で、利用していると日常的に目にするものです。

車両の番号は、新宿方から若い番号順で振られ、電動車を0から、制御車や付随車には50からの番号が振られています。
所属する車両が少なかった頃や、連接車のロマンスカーには通し番号が振られていましたが、編成内での位置関係が分かりにくくなってきたためか、2600形からは100の単位で番号を分けることにより、編成内で番号の末尾を揃えるようになりました。



もう一つの番号である号車表示は、車両の番号とは異なり小田原方から振られています。
10両編成のロマンスカーでは、小田原方の先頭車が1号車、新宿方の先頭車が10号車となっており、通勤型車両についても同様です。
例外としては4両を2編成繋いだ8両があり、7号車から10号車が編成内で重複する現象が発生します。

通勤型車両における号車表示は、分割併合が盛んに行われていた時代の案内に役立てられ、現在は忘れ物の捜索等でも活用されています。
利用者の立場では、階段との位置関係を判断したり、空いている車両を把握するために使われているのでしょう。

車両の番号と号車表示はなぜ順番が逆なのか

小田急においては、車両の番号と号車表示が逆になっていますが、なぜこのようなことが発生しているのでしょうか。
この現象はかなり昔からですが、今日に至るまで続いており、理解していないと少々混乱する部分ではありますが、利用者が車両の番号を気にすることはないでしょうから、案内上の問題はないのでしょう。

番号の法則が確立したのは車両の番号が先で、固定編成の考え方が定着する過程において、新宿方を若い番号とするようになりました。
編成が短い頃には、3両や4両だと新宿方の先頭車が奇数、小田原方の先頭車が偶数となりましたが、全電動車方式の2200形が登場するとそのような法則も崩れ始め、やがて編成内で末尾の番号を揃えるようになります。
新宿方を若い番号とした理由は定かではありませんが、そのようにしたという程度のことなのかもしれません。

号車表示については、特急で号車表示をスタートするにあたり、国鉄の基準に沿うことにしました。
つまり、東京駅を基準とした場合に西側を1号車とするもので、小田急に当てはめると小田原方が1号車となります。
新宿や小田原で国鉄の車両と並んだ場合には、基準が同じなので順番は揃っています。

こうして車両の番号と号車表示が逆の状態が発生し、今日に至るまで続いていることになります。
変えるとしたら車両の番号の順番なのかなとは思いますが、致命的な問題があるわけではないので、そのままとされているのでしょう。

おわりに

法則が確立する過程の中で、順番が逆になってしまった小田急の車両番号と号車表示。
少し分かりにくい面はあるものの、このような部分にも愛着を感じてしまうあたり、自分は小田急ファンなのだなと感じます。