営業運転からは引退し、現在は臨時列車用として余生を送っている小田急の50000形(VSE)。
最近は様々なイベントが行われていますが、町田駅の近くにあるパリオで「ロマンスカー写真展 ~VSEの17年に想いをこめて~」が開催されていますので、観に行ってきました。

展示されている素晴らしい写真を観ていると、VSEが走った17年という期間で時代は大きく変化した、そんなことを感じさせられました。
都会から郊外、そして自然が豊富な区間へ、VSEが走る様々な情景が切り取られており、記録としての写真しか撮れない私には到底真似をすることができない、素晴らしい写真の数々が展示されています。
写真を観ていて気付かされるのは、走る風景がどこであっても、それぞれの場所に自然と調和するVSEの不思議な魅力です。
都会を走っていると都会的な車両になりますが、自然の中では走り抜ける際に空気が一瞬だけ変わるような、風景によって違う姿を見せてくれます。
それらの一瞬を、たった一枚の写真に表現する撮影者の方々にも驚かされますが、VSEという車両が持つ潜在的な魅力についても、改めて再認識をさせられることとなりました。
ご存知のとおり、VSEは真っ白な車体が一つの特徴でもありますが、それ自体がキャンバスのようでもあり、強烈な個性を放ちます。
2004年にVSEが小田急に姿を見せた際には、すぐにそのような魅力に気付くことはできませんでしたが、17年間という時を経て、気付かされてきたのかもしれません。
前面展望席や連接車の復活ということで、30000形(EXE)で断ち切られた過去の流れが復活し、従来のイメージに近いロマンスカーが出てくるという期待があったのかもしれません。
ファンの前に姿を現したVSEは、真っ白な車体で直線的なデザインの車両で、それまでのロマンスカーとは異なるイメージを採用しており、当初は素直に受け入れられない部分もありました。
周囲でも様々な声があったことを思い出しますが、時間が経過する中で評価は徐々に上がり、小田急のファンに受け入れられていくような雰囲気があったことを思い出します。
その一方で、利用者は新鮮さを受け入れ、素直にその魅力を感じ取っていたようにも思い、ロマンスカーのブランド力は急速に回復していきました。
他のロマンスカーが次々に引退してしまった、そんな事情もあるのかもしれませんが、VSEに込められた魅力には、後から気付かされた小田急ファンが多かったのかもしれません。
ブランドを復権するという重責を背負ったVSEは、ロマンスカーらしさを各所に盛り込んでいますが、新たなことへのチャレンジも積極的に行っており、そういう意味では鉄道車両の自由度が今よりも高い時代だったともいえます。
VSEが活躍した17年の間には、設備面での様々な制約が増加し、標準化の思想も通勤型車両の枠を出て、全社の車両に及びつつあります。
VSEのような壮大なチャレンジが許されたのは、あの時期が最後だったのかもしれません。
比較的観光向けの要素が強い70000形(GSE)でさえ、VSEとは比較にならないぐらい、様々な制約の中で設計されたであろうことを感じさせられるのですから。
VSEのようなチャレンジングな車両が、今後登場することはあるのでしょうか。
時代背景としては、現代の日本という国において、VSEのような車両は登場しにくくなっているのでしょうが、大人から子供まで夢を見させてくれるようなロマンスカーが再び登場することを、願ってやみません。
美人薄命とはいいますが、VSEはまさにそんな言葉が似合う車両なのだと、写真展を観に行って強く感じました。
展示されている一枚一枚の写真からは、VSEが持つ魅力が感じられるほか、撮影した方の想いも伝わってきます。
記事を公開する時点で最終日を残すのみとなっており申し訳なく思いますが、ご都合がつく方がいらっしゃいましたら、VSEの魅力を再発見しに出かけてみてはいかがでしょうか。
最近は様々なイベントが行われていますが、町田駅の近くにあるパリオで「ロマンスカー写真展 ~VSEの17年に想いをこめて~」が開催されていますので、観に行ってきました。

展示されている素晴らしい写真を観ていると、VSEが走った17年という期間で時代は大きく変化した、そんなことを感じさせられました。
数々の写真に込められたVSEの魅力
写真展の会場に到着すると、目に飛び込んできたのは様々なシーンを走るVSEの姿でした。都会から郊外、そして自然が豊富な区間へ、VSEが走る様々な情景が切り取られており、記録としての写真しか撮れない私には到底真似をすることができない、素晴らしい写真の数々が展示されています。
写真を観ていて気付かされるのは、走る風景がどこであっても、それぞれの場所に自然と調和するVSEの不思議な魅力です。
都会を走っていると都会的な車両になりますが、自然の中では走り抜ける際に空気が一瞬だけ変わるような、風景によって違う姿を見せてくれます。
それらの一瞬を、たった一枚の写真に表現する撮影者の方々にも驚かされますが、VSEという車両が持つ潜在的な魅力についても、改めて再認識をさせられることとなりました。
ご存知のとおり、VSEは真っ白な車体が一つの特徴でもありますが、それ自体がキャンバスのようでもあり、強烈な個性を放ちます。
2004年にVSEが小田急に姿を見せた際には、すぐにそのような魅力に気付くことはできませんでしたが、17年間という時を経て、気付かされてきたのかもしれません。
VSEが走った17年間という時代
VSEが登場した2004年のことを思い出してみると、登場直後の鉄道ファンの反応は、今とは少し違ったものが多かったようにも思います。前面展望席や連接車の復活ということで、30000形(EXE)で断ち切られた過去の流れが復活し、従来のイメージに近いロマンスカーが出てくるという期待があったのかもしれません。
ファンの前に姿を現したVSEは、真っ白な車体で直線的なデザインの車両で、それまでのロマンスカーとは異なるイメージを採用しており、当初は素直に受け入れられない部分もありました。
周囲でも様々な声があったことを思い出しますが、時間が経過する中で評価は徐々に上がり、小田急のファンに受け入れられていくような雰囲気があったことを思い出します。
その一方で、利用者は新鮮さを受け入れ、素直にその魅力を感じ取っていたようにも思い、ロマンスカーのブランド力は急速に回復していきました。
他のロマンスカーが次々に引退してしまった、そんな事情もあるのかもしれませんが、VSEに込められた魅力には、後から気付かされた小田急ファンが多かったのかもしれません。
ブランドを復権するという重責を背負ったVSEは、ロマンスカーらしさを各所に盛り込んでいますが、新たなことへのチャレンジも積極的に行っており、そういう意味では鉄道車両の自由度が今よりも高い時代だったともいえます。
VSEが活躍した17年の間には、設備面での様々な制約が増加し、標準化の思想も通勤型車両の枠を出て、全社の車両に及びつつあります。
VSEのような壮大なチャレンジが許されたのは、あの時期が最後だったのかもしれません。
比較的観光向けの要素が強い70000形(GSE)でさえ、VSEとは比較にならないぐらい、様々な制約の中で設計されたであろうことを感じさせられるのですから。
VSEのようなチャレンジングな車両が、今後登場することはあるのでしょうか。
時代背景としては、現代の日本という国において、VSEのような車両は登場しにくくなっているのでしょうが、大人から子供まで夢を見させてくれるようなロマンスカーが再び登場することを、願ってやみません。
美人薄命とはいいますが、VSEはまさにそんな言葉が似合う車両なのだと、写真展を観に行って強く感じました。
おわりに
VSEを中心としたロマンスカーの写真展は、小田急の町田駅を出てすぐの場所にある、パリオ町田にて6月19日まで開催中です。展示されている一枚一枚の写真からは、VSEが持つ魅力が感じられるほか、撮影した方の想いも伝わってきます。
記事を公開する時点で最終日を残すのみとなっており申し訳なく思いますが、ご都合がつく方がいらっしゃいましたら、VSEの魅力を再発見しに出かけてみてはいかがでしょうか。
コメント
コメント一覧 (7)
その時の町田駅も新ロマンスカーに騒然となっていました。
ワタシダ
が
しました
僕的にはVSEは見てヨシ、乗ってヨシ、撮ってヨシの素晴らしい車輌でした、多くの方々の足を写真展に向かわせるのもVSEが放つ魅力がゆえだと思います。
通常時でもなかなか乗れない展望席が今はたったの二編成、これではちょっと寂しいですよね。展望席付き特急車輌は小田急そのものを輝かす重要な存在だと思うので、VSEの如く魅力を周囲に放ちまくる展望席付きのカッコイイ次世代ロマンスカーを早々に世に送り出してほしいものです。
ワタシダ
が
しました
堅実な経営としながらも、トヨタ自動車の現社長のような復古の豪語を実行できる人がまずトップに立ち、実行しやすい社内環境を整えてもらいたいと私は切に願っています。
SDGsとかいう海外からのこじつけ?に真に受けすぎない豊田氏のクルマ好きな姿勢が伝わるように、鉄道が純粋に好きな人でなければ。
(対照的なのはつい最近の三菱自動車でしょう。前社長の故 益子氏はなんと人生で自動車の運転免許を取得せず、自分で車を一度も運転したことがないという衝撃の事実がありましたからね···これではどんなに現場が頑張っても当のトップがクルマに関心をもたず、会社自体も廃れていくわなと。)
GSEでさえ「編成辺り座席数400人は堅持したいからピッチは我慢して」(あと連接構造めんどいから一般ボギー車で)という後ろ向き妥協が色濃かっただけに、これ以上妥協すると「どこにでも居そうなただの特急車」止まりになり、ロマンスカーならではの面白さはもう無くなるのではないかと心配になりますよ。
やはり、その真逆を行く次なるロマンスカーの登場が箱根観光や沿線活気付けの切り札となるでしょう。
通勤需要に力を入れるのはそれはそれで大事でも、長年積み上げた観光要素を疎かにしていいわけでは決してないですよね。十数年前ではとても考えられない、展望席ありの車種が予備なしのたった2編成しかなくなり、事故で一時的ながらたった1編成しかないなどという有り様に。
ワタシダ
が
しました
そんな列車でした
見ても嬉しかったので運行終了が惜しいです
仕方無いっちゃ仕方無いですが…寂しいです
ワタシダ
が
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ワタシダ
が
しました
今も撮影で列車を待っていると、VSEが走ってきそうな感じがします。定期運用終了前、撮影しているときにVSEが何回も来て「VSEがよく来るなぁ」と思うことがありました。そんな思いをできた当たり前の日常が恋しいです。
ワタシダ
が
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素晴らしい着眼点、おっしゃる通りだと思います
圧倒的な個性や存在感を示しつつも、でも周囲の風景との調和を崩さず、さらにその場所の日常の風景自体を、より洗練されたワンシーンに変えてしまうVSEマジック…
個性の強い車両は、それが故にともすればちょっと“浮いた”存在にもなりかねませんが、VSEの凄いところは、その部分の絶妙な調和にあるのかもしれません
洗練された個性とあらゆる風景・場面との調和。こんな素晴らしい車両、果たして今後出てくることがあるのでしょうか…引退が心から惜しまれます
ワタシダ
が
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