小田急で最古参の通勤型車両ながら、後輩の1000形よりも多くの編成が残っている8000形。
普通鋼製車体の車両としても貴重な存在となっており、ケイプアイボリーにロイヤルブルーの帯を巻く最後の形式ともなっています。

登場から現在までに、8000形では様々な特別装飾が見られましたが、引退前にポケット号の姿を見たいというような、復刻を望む声を耳にします。
過去の特別装飾が復刻する可能性はあるのでしょうか。

8000形で見られた特別装飾

車体が塗装された車両として、小田急では貴重な存在となっている8000形ですが、様々な特別装飾が過去に行われ、鉄道ファンや利用者を楽しませてきました。
新しい車両としての立ち位置だった1980年代には、ポケット号やオーキッド号で活躍し、二種類の特別装飾が同時に見られた時期もあります。

私はこれらの姿を撮影していないため、普段から親しくしていただいている皆さまのブログにて、懐かしの姿はご覧いただければと思います。







ここまで派手ではないものの、その後も8000形で装飾が行われる事例は多く、ブースカランドや小田急百貨店の装飾車両が見られました。
近年では、江ノ島線の開業90周年を記念した装飾が行われ、小田急ファンや利用者を楽しませています。

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塗装されたスマートな車体で、イベントカーに設定されていたこともあり、装飾の機会が多かったのかもしれません。

8000形の特別装飾が復刻する可能性

リニューアルが行われているとはいえ、登場からかなりの年数が経過した8000形は、いつ廃車が本格化してもおかしくない存在となってきています。
車体が塗装された最後の通勤型車両ということで、復刻した特別装飾の姿を見てみたい、小田急ファンとしてそんなことを考えてしまうのです。

過去の特別装飾だけではなく、旧塗装を再現してみるということや、荷物電車のカラーリングにしてみるのも面白いかもしれません。
しかし、物理的にはできるのでしょうが、そこには二つのハードルがあるようにも思いました。

真っ先に頭に浮かぶのは、やはり費用の問題です。
特別装飾を行うには当然コストが発生し、それを回収するだけの効果が見込めなければいけませんが、話題性がある、鉄道ファンが写真を撮りに来るぐらいだと、かなり厳しいものがあるでしょう。
スポンサーを探す方向性もありますが、こちらもリターンがあまり期待できないため、難しいように思います。

もう一つのハードルは、当時装飾を行った際の権利関係や、自治体の広告に関する規制をクリアできるのかという問題です。
前者については、当時の権利関係が既によく分からなくなっているといったケースや、後に再度行うことを想定していない可能性が高いと考えられます。
後者についても、当時は問題がなかった装飾が、現代では問題となるケースが考えられるため、慎重さが求められます。

これらのことを踏まえると、小田急側として装飾を復刻するメリットはあまりないため、鉄道ファンや利用者の声が盛り上がらない限り、実現する可能性は低いのではないでしょうか。
クラウドファンディング等で費用が集まれば、ハードルの一つについては解消する可能性がありますから、最近流行りの撮影会を権利に組み込む等して、企画が動くと面白いようには思います。
いずれにしても、小田急という大きな企業を相手に個人が動くのは難しいため、実現に向けた一歩を踏み出すとしたら、どこかの大きな組織が動く必要はあるのかもしれませんね。

おわりに

更新された姿とはいえ、懐かしのポケット号やオーキッド号の姿を見たいと思うのは、小田急ファンとして自然なことなのかもしれません。
目で見た記憶はあっても、撮影できなかった世代だからこそ、尚更そんなことを考えてしまうのでしょうか。