快速急行を補完する種別として、近距離での乗車や、空いている列車を好む方に利用されている小田急の急行。
2022年3月12日のダイヤ変更以降は、今までと役割に変化も見られており、やや立ち位置が曖昧になりつつあります。

最近の変化によって、現在の急行は一昔前の準急に近い存在となりつつありますが、今後種別の整理が行われる可能性はあるのでしょうか。

進む急行の準急化

湘南急行や快速急行が登場する以前、ロマンスカー以外では最上位の種別であった急行は、2016年に快速急行が一気に増加したことで、それを補完する役割となりました。
急行の本数自体はあまり変わらず、快速急行と同等の本数が設定されており、所要時間はかかるが空いている列車として、急がない利用者に重宝される存在となっています。

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当初は多摩線に入る千代田線に直通する列車が含まれましたが、複々線化が完了した2018年に見直しが行われ、急行の多くは新宿発着の列車となりました。
しかし、2022年3月12日のダイヤ変更以降は、運転区間を短縮して日中に千代田線直通の列車が多く設定され、千代田線に直通する急行は再び珍しくなくなっています。
この変更によって日中は準急が走らなくなってしまいましたが、準急のままでもよかったようには思います。

現在の急行は、新宿から唐木田、千代田線と向ヶ丘遊園を結ぶ列車が基本となり、町田以西には小田原とを結ぶ6両の急行が走っています。
運転区間が短縮されたことで、都心部を走る列車は一昔前の準急に近い存在となっており、向ヶ丘遊園までの列車は昔であれば確実に準急で設定されたでしょう。
多摩線の唐木田までを走る列車についても、多くは多摩線内で各駅停車となっており、急行らしいのは向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘までともいえます。

種別の整理が行われる可能性

急行の運転区間が短縮されたことで、小田急線内を走る種別の住み分けについては、少々ややこしい状態も発生しつつあります。

ややこしい存在としては、千代田線との直通運転を行う急行と通勤準急の関係があげられ、代々木上原から向ヶ丘遊園までの停車駅が同一になってしまいました。
途中駅で種別を変更する列車について、近年は最終行先を表示するようになったため、通勤準急は登戸までを各駅停車として、そこから急行になれば問題がないことにもなります。
準急系の列車は千代田線に乗り入れるという法則についても、急行での直通運転が増えてしまったため、以前よりは目立たなくなってしまっています。

さらに複雑なのは、町田以西を走る急行の存在で、こちらは新松田から小田原までを各駅停車として走るため、途中駅で種別を変更しています。
区間や列車により、途中駅で種別を変更して対応する場合と、別の種別を仕立てるケースが混在しており、結果として種別の設定が以前よりも複雑になってしまいました。

複々線化が完成する際のダイヤ改正で、今のような状況になることは想定外だったでしょうから、今のダイヤが今後も続く場合には、どこかで種別を整理しなければいけないタイミングがありそうです。
幸いなこととしては、1000形の未更新車が消滅した場合、方向幕を装備する車両がなくなるため、昔より種別に関わる変更はしやすいかもしれません。
いずれにしても、駅の案内等も変更する必要があり、種別の整理は簡単ではないのかもしれませんが、少々強引に設定している状況ともなりつつあるため、そのうち動きがあるかもしれませんね。

おわりに

最終行先を表示するようになり、途中駅での種別変更がしやすくなったためか、近年は様々なパターンが見られるようになりました。
その一方で、利用者目線では少々分かりにくくなった面もあるように思い、種別の設定は難しいものなのだということを、改めて実感します。