3000形が登場する前は小田急で最大の勢力を誇り、増備の過程で様々なバリエーションが生まれることとなった1000形。
2014年度からリニューアルが開始され、バリエーションはさらに増えることとなりましたが、一部の編成は未更新のまま廃車となり、近年は数を減らしつつあります。

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登場の時点から様々なバリエーションが生まれた1000形ですが、実際にはどれぐらいのパターンがあったのでしょうか。

6年間に渡って増備された1000形

バリエーションが豊富ということで、増備された期間が長いのではと思ってしまいますが、1000形の増備期間は6年となっており、小田急の中では平均的なものです。
つまり、短期間のうちに様々なバリエーションが生まれたことを意味しており、やや特殊なケースとなっています。

各年度に増備された1000形の両数は、以下のとおりです。

1987年度:32両
1988年度:30両
1989年度:38両
1990年度:32両
1991年度:26両
1992年度:38両

平均すると30両を少し超えるぐらいの両数が各年度に増備され、最終的に196両が揃うこととなりました。
最大の両数となっていた5000形の180両を超え、3000形に抜かれるまでは小田急で最も両数が多い形式となっています。

1000形のバリエーション

鉄道車両においては、製造の段階で仕様差が生まれることは一般的ですが、1000形にはそういった部分ではないバリエーションが豊富に存在しました。
年度ごとで異なるといってもよいぐらいで、最終的には同一形式内で多数のグループ分けができる状態となっています。

1000形のバリエーションを大まかに分類すると、以下のとおりとなります。

・4両(地下鉄乗り入れ非対応車)
・4両(地下鉄乗り入れ対応車)
・4両(ワイドドア車)
・6両(地下鉄乗り入れ対応車)
・6両(ワイドドア車)
・8両(地下鉄乗り入れ非対応車)
・10両(地下鉄乗り入れ対応車)

両数が豊富なこと、千代田線への乗り入れに対応しているか、ワイドドア車かどうか、これらの要素が組み合わさることで、バリエーションが豊富な形式となりました。
小田急の歴史上において、ここまでバリエーションが多い形式は他になく、リニューアルが途中で打ち切られることになった遠因ともいえそうです。

バリエーションは後に増加しており、6両の地下鉄乗り入れ非対応車や、組み替えられて6両になったワイドドア車が加わりました。
リニューアルが始まったことで、バリエーションはさらに増えましたが、未更新車の減少によって統一が図られつつあり、最終的には編成単位での仕様差に近い状態に落ち着くこととなりそうです。

おわりに

前面のデザインはそのままに、多種多様なバリエーションを生みつつ増加した小田急1000形。
多くの車両が置き換えではなく純増のための増備だったことが、バリエーションを増やすことに繋がったのかもしれませんね。