伝説的な名車となった3000形が登場してから、65年の歳月が経過しました。
3000形の登場以降、小田急のロマンスカーは歴史を重ね、時代に合わせた多種多様な車両が登場し続けています。

ロマンスカーには、それぞれの車両に愛称が設定されていますが、この歴史は3000形から始まったもので、その後に登場した全ての車両に付けられています。
今回の記事では、既に引退してしまったロマンスカーについて、愛称に込められている意味を振り返ってみたいと思います。

初期の車両の愛称に込められた意味

従来の車両とは何もかもが違う3000形が登場したのは、1957年のことでした。
その後の標準色となるバーミリオンオレンジを基調としたカラーリングは、この3000形によって確立したものです。

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3000形には「Super Express」という愛称が設定され、略してSEやSE車と呼ばれるようになりました。
日本語では超特急という意味になり、新幹線の登場にも繋がる革新的な車両が誕生した瞬間でした。

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御殿場線への乗り入れを行うため、3000形は後に編成を短縮することになりますが、短くなってからは「Short Super Express」とも呼ばれるようになり、略してSSEとされました。
この呼び方がどこまで公式的なものであるのかはよく分からず、書籍等でも見られる表現ではあるものの、小田急側が積極的に使っていないことから、正式なものではないのでしょう。

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3000形に続いて登場した3100形は、運転室を2階に設置し、前面展望席を設けた車両となりました。
愛称は「New Super Express」とされ、そのまま日本語にすると新しい超特急ということになります。
略してNSEと呼ばれますが、ニューエスと呼ぶ方も多いようです。

初期の車両に付けられた愛称には、車両のイメージとリンクした深い意味はなく、その後も伝統的に続いていくことまではイメージしていなかったのかもしれません。

新時代の車両の愛称に込められた意味

輸送力の増強に追われた1970年代には、ロマンスカーの増備は行われませんでした。
少しずつ余裕が出てきた1980年に7000形が登場し、小田急のロマンスカーには新時代が訪れます。

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約18年ぶりの新型ロマンスカーとなった7000形には、「Luxury Super Express」という愛称が設定され、略してLSEと呼ばれました。
豪華な車内が愛称の由来となっており、明るく華やかなイメージに仕上げられています。
車両自体のイメージと合わせられた愛称の設定は、その後の流れへと繋がっていきます。

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カラーリングを大胆に変更した10000形には、「High Super Express」という愛称が設定され、HSEではなくHiSEと略されます。
ハイデッカーが特徴的な車両ですが、愛称にはハイデッカー、ハイグレード、ハイレベルといった様々な意味が込められており、上級のイメージを表しています。

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御殿場線に乗り入れるロマンスカーとして登場した20000形には、「Resort Super Express」という愛称が設定されました。
富士山のふもと、西伊豆といった行楽地に向かうことから、3000形以降のロマンスカーでは初となる青系のカラーリングを採用し、愛称にもそのニュアンスが込められています。

おわりに

代を重ねるごとに、愛称に意味が込められるようになってきた小田急のロマンスカー。
これから登場する車両には、どのような愛称が設定されるのでしょうか。