2014年度からリニューアルが開始され、現在までに98両が更新車となった小田急1000形。
一時期は先頭車の中間車化を伴う10両固定編成化が進められましたが、結果としてこの改造は2編成にしか行われませんでした。

一部の編成が廃車になったことや、たった2編成だけで終わったことから、10両固定編成化は途中で中止されたと考えられますが、理由としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

1000形の10両固定編成化

4両から10両まで、様々な編成バリエーションが存在した1000形ですが、2編成を繋いで使われていることが多く、4両と4両を繋いだ8両、4両と6両を繋いだ10両が多く見られました。
先頭車が過剰な状態となっていたことから、リニューアルと合わせて10両固定編成化が行われ、1056Fと1256Fを組み合わせた1095F、1052Fと1252Fを組み合わせた1096Fが誕生することとなりました。

10両固定編成への改造では、中間に入る先頭車の中間車化が行われ、先頭車としての機能は完全に撤去されています。
同じく中間車化が行われたワイドドア車とは異なり、改造部分はかなり目立つ構造となっており、趣味的にも面白い車両の誕生となりました。

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しかし、同種の編成が増えると予想されていたものの、この改造は2編成だけで終わってしまい、しばらくして未更新車の一部が廃車される事態となりました。
6両が6編成あったことから、10両は少なくとも以下の編成が登場する予定だったと考えられます。

1095F(1056F+1256F)
1096F(1052F+1252F)
1097F
1098F
1099F
1090F

この場合の1097Fは、現在走っている編成とは異なり、先頭車の中間車化を行った場合の編成です。
6本目がどのような番号を使う予定であったのかは不明ですが、2400形の先例に従えば1090Fに戻った可能性が高いでしょう。

10両固定編成化はなぜ中止されたのか

大掛かりな改造を2編成のために計画したとは考えにくいため、4両と6両を組み合わせることで、最低でも10両固定編成が10本という状態にしようとしたのが、当初の計画であると考えられます。
しかし、結果として2編成で終わっていることからも分かるとおり、何らかの理由により途中で中止されたのでしょう。

中止の理由は定かではないものの、改造を実際に始めてみたところで、何らかの問題が生じたのだと考えられます。
この時期は経営陣が交代しているタイミングでもあるため、そういった面での方針変更だったのかもしれません。

生じた問題として考えられるのは、想定より工期がかかった、コストが膨れたといったものだと思われますが、実際のところはどうだったのでしょうか。
同じように中間車化を行った京王8000系では、使われていないはずだったアスベストの使用が発覚するといった問題がありましたが、小田急とは対照的に問題がありつつも完遂しています。

1000形の場合には、ホームドアの設置等も絡み、電磁直通ブレーキの車両を早期になくしたかったという事情もありそうですから、様々な要因が複合的に絡んでしまったのかもしれません。
いずれにしても、改造を中止して新造車両に置き換えることが、総合的に考えてメリットがあるという判断に至ったのでしょうね。

おわりに

結果的に2編成で終わった改造でしたが、1095Fと1096Fは今日も元気に活躍しています。
この2編成が活躍している姿を見ると、同じように中途半端に終わってしまった、2600形の8両固定編成を思い出すのは私だけでしょうか。