久し振りの新型ロマンスカーとして、1980年に登場した小田急の7000形(LSE)。
3100形(NSE)以来、約18年ぶりに登場した新型車両に、当時の鉄道ファンは盛り上がりました。
そんなLSEですが、1982年12月に国鉄の東海道本線上で高速試験が行われています。
私鉄の車両が国鉄線上を走るという珍しいできごとですが、なぜこのような試験が行われたのでしょうか。
試験は東海道本線の大船から熱海の間で行われ、回送では来宮まで入線しています。
当時の小田急では、国鉄の御殿場線への乗り入れ実績はあるものの、それは3000形(SE)で行われており、LSEが国鉄線上を走るのは極めて珍しいことでした。
この試験は国鉄側の要望で行われ、約1,000万円で7002Fが貸し出されました。
試験走行にあたっては、国鉄と小田急の運転士がペアで乗務し、130km/hでの高速走行が行われています。
130km/hでの走行は、大磯から国府津にかけての直線区間で行われ、同時に行われた曲線部での試験には、真鶴から湯河原の半径400mのカーブが使われました。
試験車両となる7002Fには、小田急の大野工場で測定用の機器等が取り付けられ、国鉄へと貸し出されています。
乗務員の訓練等を経て、12月10日から15日にかけてLSEを用いた試験走行を実施、各種データの収集が行われました。
現代よりは他社の車両が走行するハードルは低そうですが、入念な準備が必要であったことは間違いありません。
当時の国鉄では、自動車や航空機の台頭で競争力が落ちてきており、その対抗策として130km/hで走行するスーパー特急の開発を進めていました。
120km/hが当時の在来線での最高速度でしたが、これを上回る高速走行でイメージアップを図る計画で、1986年度に新型車両を登場させることを目指していました。
国鉄の財政事情は厳しく、線路等の地上設備を改良することが現実的ではないことから、車両のみを改良して高速走行を実現する計画でした。
高速走行を可能とする車両を開発するにあたっては、フランスのTGV等が連接台車を採用していることから、ボギー車と連接車のどちらを採用するのが適切なのか、そのための比較を行うことがこの試験の目的でした。
そこで選ばれたのが高速性能を持つLSEで、183系と同一条件で走行した場合の比較が行われたのです。
試験の結果は、連接車の導入を決定するほどの優位性は認められず、国鉄で本格的に連接車を導入することはありませんでした。
新型特急自体の開発も遅れ、130km/hでの走行はJR東日本の651系の登場を待つこととなりました。
スーパー特急という表現に古さを感じますが、その後の多種多様な車両の登場に、この試験は繋がっていったのでしょうね。
3100形(NSE)以来、約18年ぶりに登場した新型車両に、当時の鉄道ファンは盛り上がりました。
そんなLSEですが、1982年12月に国鉄の東海道本線上で高速試験が行われています。
私鉄の車両が国鉄線上を走るという珍しいできごとですが、なぜこのような試験が行われたのでしょうか。
東海道本線を走った小田急のLSE
まだLSEが新車だった1982年の11月から12月にかけて、国鉄の183系と小田急のLSEを使用した高速試験が実施されました。試験は東海道本線の大船から熱海の間で行われ、回送では来宮まで入線しています。
当時の小田急では、国鉄の御殿場線への乗り入れ実績はあるものの、それは3000形(SE)で行われており、LSEが国鉄線上を走るのは極めて珍しいことでした。
この試験は国鉄側の要望で行われ、約1,000万円で7002Fが貸し出されました。
試験走行にあたっては、国鉄と小田急の運転士がペアで乗務し、130km/hでの高速走行が行われています。
130km/hでの走行は、大磯から国府津にかけての直線区間で行われ、同時に行われた曲線部での試験には、真鶴から湯河原の半径400mのカーブが使われました。
試験車両となる7002Fには、小田急の大野工場で測定用の機器等が取り付けられ、国鉄へと貸し出されています。
乗務員の訓練等を経て、12月10日から15日にかけてLSEを用いた試験走行を実施、各種データの収集が行われました。
高速試験が行われた理由
小田急からわざわざLSEを借りてまで、国鉄が試験を行った理由は何だったのでしょうか。現代よりは他社の車両が走行するハードルは低そうですが、入念な準備が必要であったことは間違いありません。
当時の国鉄では、自動車や航空機の台頭で競争力が落ちてきており、その対抗策として130km/hで走行するスーパー特急の開発を進めていました。
120km/hが当時の在来線での最高速度でしたが、これを上回る高速走行でイメージアップを図る計画で、1986年度に新型車両を登場させることを目指していました。
国鉄の財政事情は厳しく、線路等の地上設備を改良することが現実的ではないことから、車両のみを改良して高速走行を実現する計画でした。
高速走行を可能とする車両を開発するにあたっては、フランスのTGV等が連接台車を採用していることから、ボギー車と連接車のどちらを採用するのが適切なのか、そのための比較を行うことがこの試験の目的でした。
そこで選ばれたのが高速性能を持つLSEで、183系と同一条件で走行した場合の比較が行われたのです。
試験の結果は、連接車の導入を決定するほどの優位性は認められず、国鉄で本格的に連接車を導入することはありませんでした。
新型特急自体の開発も遅れ、130km/hでの走行はJR東日本の651系の登場を待つこととなりました。
おわりに
国鉄の線路の上をLSEが高速走行するという珍事には、将来的なスーパー特急の開発が絡んでいました。スーパー特急という表現に古さを感じますが、その後の多種多様な車両の登場に、この試験は繋がっていったのでしょうね。
コメント
コメント一覧 (12)
高速試験とかいう名目で。。
国鉄も、もっと健全なる経営だったら、連接車による、高速車輌が製造されていたのかも知れない。
試験車ではあるが、分割民営化してから、新幹線車輌においても、連接車が製造され、高速試験された。
ワタシダ
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試運転での貸出という形態でホームコース外の線路を渡るロマンスカーは今のところLSEが最後でしょうか。
他の方もコメントされていますが、試験に駆り出された当該の7002Fがあっさり最初の退場編成になったのは残念に思います。
GSE以降のロマンスカーはどのような設計思想を以て世に送り出されるか、改めて考えさせられますね。迷惑な疫病による世界的混乱を経て、観光特化タイプの車種とする際に必ずしも定員400人維持の方向性を堅持する必要はなくなったわけですし。
願わくば令和時勢ならではの省メンテナンス対応連接車を見てみたいところですが、今の体制では難しいでしょうね···
ワタシダ
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ワタシダ
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ワタシダ
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御殿場線乗り入れ以外でロマンスカーがJR線内を走行するのは極めて珍しく、今後また新型ロマンスカーが東海道線で走行試験をする日は来るのか、期待と不安が大きいこの頃です。
ワタシダ
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こちらは高速性能の追及ではなかったようです。結局いくらも使われないまま何度か修正改造を繰り返しにも関わらず短期廃車になりました。
色々な本を読みましたが、一応小田急は連接は諦めていない。技術が伴えば再び採用すると記載がいくつもありました。
やっぱりロマンスカーは展望席と連接で新型を登場して欲しいし、期待しています!
ワタシダ
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ワタシダ
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