江ノ島線の終点で、海水浴や水族館のイメージが強い小田急の片瀬江ノ島駅。
片瀬江ノ島の駅舎は、竜宮城を模したユニークな外観をしており、そのイメージをお持ちの方も多いことでしょう。

開業以来竜宮城の駅舎となっている片瀬江ノ島ですが、建て替えによってその姿は変化しています。
両方の写真を撮っていたため、今回の記事では駅舎の変化を見てみたいと思います。

仮設の駅舎として建設された竜宮城

1929年4月1日に開業した江ノ島線の終着駅として、片瀬江ノ島は誕生しました。
昔は夏になると海水浴客で賑わう駅でしたが、レジャーの多様化が進んだ現代においては、昔ほどの勢いはなくなっています。

江ノ島線が開業した当時、駅付近には別の鉄道路線の免許が交付されていたため、片瀬江ノ島の駅舎は仮設とされました。
しかし、これはあくまでも登記上のことだけであり、免許が失効する可能性が極めて高かったことを踏まえ、駅舎自体は実質的に常設として建設されています。

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こうして誕生した片瀬江ノ島の駅舎は、遊び心が満載の竜宮城のような外観をしており、とてもユニークなものとなりました。
終点らしく横に広い駅舎は立派なもので、赤く塗られた建物に緑の屋根が目立ち、地域のシンボルとなります。
正面上部にある駅名標も竜宮城に合わせられており、遠目には駅舎だと分からないような建物でした。

竜宮城の建て替え

抜群のインパクトを誇った片瀬江ノ島の竜宮城ですが、道路の拡張等に合わせ、開業以来使われてきた駅舎が建て替えられることになりました。
当然のことながら、竜宮城の存在を惜しむ声は多かったようで、新駅舎でも竜宮城のイメージは継承されることとなります。

駅舎の建て替えは2018年2月に開始され、惜しまれつつ旧駅舎は解体されました。
その後は東京2020オリンピックの開催に間に合わせるように新駅舎の建設が進められ、2020年7月30日に完成しました。

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新駅舎の外観はこのようなものとなり、竜宮城のイメージはしっかりと残されつつ、神社仏閣の技法である竜宮造りが取り入れられました。
以前の駅舎よりも本格的になった印象で、パワーアップして戻ってきたようにも感じられます。

本格的にはなりつつも、屋根にはイルカが載っているといった遊び心も散りばめられており、江ノ島という観光地に合う駅舎に仕上げられました。
駅の構内にはクラゲの水槽があるほか、夜間には駅舎のライトアップも行われています。
生まれ変わった片瀬江ノ島の竜宮城は、これからも地域のシンボルとして、愛されていくのでしょう。

おわりに

片瀬江ノ島駅のイメージとして、完全に定着していた竜宮城を模した駅舎。
そのイメージはしっかりと継承されており、建て替えの好事例ともいえそうです。