子育て世代への応援策として、2022年3月12日から「小田急の子育て応援車」の設定を開始した小田急。
車両側の対応は順次進められ、設定された車両にはそれを示すステッカーが貼られています。

設定開始から4ヶ月が経過し、徐々に定着しつつある子育て応援車ですが、今後はどのようになっていくのでしょうか。

子育て世代の応援策

通勤や通学客に支えられる鉄道会社にとって、沿線に居住する方を増やすことは大切な意味を持ちます。
そういう意味の中で、長い期間に渡って利用してくれる子育て世代を呼び込むことは有効な施策であり、小田急に限らず各社が力を入れて取り組むようになってきました。
小田急においては、小児IC運賃を50円にするといった取り組みが始まったほか、子育てを応援する車両を設定することで、利用しやすい環境づくりが進められています。

子育て応援車は6両以上の各編成に設定され、小田原方から3両目の3号車が対象車両です。
4両を2編成組み合わせた8両や、他社の車両は対象外となっていますが、実質的にはほとんどの車両に設定されている状態となっています。

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対象の車両にはそれを示すステッカーが貼られており、利用者への周知が図られています。
そもそも子育て応援車がどのようなものなのかというと、子供を連れている方が安心して乗車できるように、みんなで見守りましょうという車両です。
誰でも乗ることは可能であり、究極のお願いベース、ソフト面の施策ということになります。

同様の車両は、東海道新幹線や都営地下鉄の大江戸線でも見られ、後者については車内に装飾も行われています。
しかし、賛否両論があるというのが実情でもあり、小田急が行った全編成への導入は、それなりに踏み切った判断だとも感じます。

国の未来を左右する子育てがしにくく、このような車両を設定せざるを得ない実態も悲しいことですが、良い方向に進むことを願うばかりです。

子育て応援車に次の一手はあるのか

ほぼ全ての編成に設定された小田急の子育て応援車ですが、現状は理解の促進とお願いがベースとなっており、周知等は行われているものの、設定しただけの状態であることは否めません。
利用者の認知が進み、今後ある程度自然な住み分けはされるのかもしれませんが、あと一歩が欲しい気もします。

他の車両と比較して、理解がある方が乗車している状態になったとしても、子を持つ親の心境としては、できることなら車内で平和に過ごせたらという思いがあることでしょう。
私自身も子育てをしている身であり、子供が幼い頃は電車に乗る際に気を使ったことを思い出します。
車内で泣いたり騒いだりということはなかったものの、長時間おとなしくしていることは難しく、気を紛らわすために色々な対策をしていました。

子供が喜ぶという観点では、やはり都営地下鉄の車内装飾は嬉しい取り組みでしょう。
装飾内容も子供が喜ぶキャラクターであり、楽しく乗っていることができるのではないでしょうか。
この方向性で踏み込むとしたら、車内にあるディスプレイで目を引く映像を流すといった取り組みもできそうです。

音楽や音声が流れていれば、かなり子供としては嬉しい状態になりそうですが、他の利用者のことも考えるとそこまでは厳しいかもしれません。
時間や列車を限定するという手もありますが、そこまでして行う意味もなさそうです。

5000形では全車両にフリースペースが設置されましたが、ベビーカーでの利用に備えて、子育て応援車に優先して設置するような取り組みは考えられます。
住み分けを考えるのであれば、ある程度車両を集中させたほうがよいともいえるため、定着すれば動きが出てくる可能性もあります。

いずれにしても、大切なことは子育てをしている人、そうではない人の双方にとって利用しやすい環境の構築であり、小田急には良い方向に進む次の一手を期待したいと思います。

おわりに

子育てがしにくい環境というのは悲しい状態であり、社会全体として支えていく空気感は今後ますます重要になることでしょう。
賛否両論がある鉄道会社の取り組みですが、何もしないよりはしていることを評価したいと個人的には思いますし、これからも様々な取り組みに発展していくことを願っています。