2022年3月12日に実施されたダイヤの変更以降、一部の列車を除いて藤沢で運行が分断された小田急の江ノ島線。
藤沢を乗り通す場合には、乗り換えが必要になってしまったため、利便性が悪くなったという声もあるようです。

様々な意見がある中、相模大野方面に向かう各駅停車については、多くの場合において停車中に両側のドアを開けるように運用が変更されました。
素早く運用を見直した背景には、どのような理由があると考えられるのでしょうか。

藤沢駅におけるドア扱い方法の変更

小田急の藤沢には3本の線路があり、両側の線路は片側のみにホームが、中央の線路には両側にホームがあります。
現在は1番ホームを相模大野方面に向かう快速急行や急行が、3番ホームを相模大野方面に向かう各駅停車が、4番ホームを片瀬江ノ島方面に向かう各駅停車が使用し、ロマンスカーは1番ホームと2番ホームに発着しています。

藤沢で乗り換えが必要となったことで、1番ホームと4番ホームの行き来については、場所によって階段を昇り降りする必要が生じてしまい、批判的な意見が目立っていました。
批判的な意見で多く言及されていたのが、中央の線路に車両が止まっているのにもかかわらず、3番ホーム側のドアしか開けていないというもので、両側を開けていれば車両を介しての乗り換えが可能になることから、利用者としては面白くない状況でした。
混雑時には両側のドアを開けていたようですが、多くの時間帯ではそれを行っておらず、狭い階段を昇り降りする必要が生じていました。



乗り換えの時間に余裕があればよいものの、接続時間の長短がタイミングによって異なるため、階段を昇り降りしているうちに列車が出てしまうこともありました。
しかし、ダイヤ変更からしばらく経った5月の終わり頃、中央の線路に停車する列車は極力両側のドアを開けるように運用が変更されたようで、優等列車と片瀬江ノ島方面の乗り換えがしやすくなっています。

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乗り換えが面倒になることは事前に分かっていましたから、最初から運用を変えていればベストだったのでしょうが、まずは様子を見ようとしていたのかもしれません。
東海道線に乗り換える利用者も多いため、乗務員の負担が大きくなる両側のドア扱いは避けたかったのでしょう。

素早く行われた運用の見直し

ダイヤ変更の当初から、このようなドア扱いを行っていればベストではありましたが、スピーディーな動きには好感が持てます。
ダイヤ変更から数ヶ月で素早く運用が見直されたことには、どのような背景があるのでしょうか。

まず、SNS等で批判的な意見が見られていたことから推測できるのは、ある程度まとまった数のクレームが寄せられていたのかもしれません。
分断には理解を示しつつも、なぜ両側のドアを開けないんだというクレームが入ることは、なんとなく想像ができます。

安全性の面でも課題があったのかもしれません。
相模大野方にある階段は狭いため、東海道線と小田急の乗り換え客が混在すると混雑に拍車がかかり、ホームに利用者が滞留しやすくなります。
安全を重視する小田急としては、このような点も無視はできなかったでしょう。

運行の分断というネガティブな変更に対して、改善を素早く行うことは、とてもよい動きといえます。
乗り換えが済むまで、列車の出発を少し遅らせることもあるようで、できることを確実に行っている印象です。
見方を変えれば、タイミングによっては以前より所要時間が短くなるタイミングもあり、スイッチバックのデメリットが解消した面もあります。

私自身も何度か現地で確認しましたが、どの列車も両側のドアを開けて客扱いを行っていました。
以前よりも両側のドアを開けるケースが増えていることは間違いありませんが、折り返し時間や混雑状況の関係なのか、開けないケースもまだあるようです。
電車が到着するタイミングで、既に降車ホーム側を閉めているケースもあるでしょうから、その点では運用の難しさも感じます。

できる範囲とはいえ、細かい改善を素早く行っているということは、今後もこのスタイルを維持する意思表示とも感じられるため、元の状態に戻ることはもうないのかもしれませんね。

おわりに

江ノ島線内を全線で通して運転する列車が僅かとなり、ダイヤ変更後は運行パターンが大きく変化しました。
将来的にはワンマン化等が行われる可能性もあり、今後も目が離せない区間となりそうです。

全ての場合において両側のドアを開けると読み取れる内容になっていたため、本文の一部を公開後に修正いたしました。
表現に至らない点がありましたことをお詫び申し上げます。