2019年度から5000形の導入を開始し、8000形や1000形の一部を置き換えている小田急。
現在までに100両が営業運転に投入されており、少しずつ世代交代が進められています。

そんな小田急ですが、通勤型車両の増備時期に偏りがあったという問題を抱えています。
あと10年ほどでその時期となりますが、小田急はどのように対処していくのでしょうか。

車両が一気に古くなる2030年代

2400形等の中型車や非冷房車を一掃するため、小田急は昭和の終わりにハイペースで車両の置き換えを行いました。
30年に満たない車齢で廃車となった車両も多く、輸送力の増強に追われていた事情も重なり、2400形が引退して以降、10年以上通勤型車両の本格的な置き換えが行われない状態となりました。

しかし、その余波というべきか、2600形の廃車開始後は古い車両がハイペースで置き換えられ、一気に若返りが進められたのです。
連続した置き換えによって、2600形、4000形、先代の5000形、9000形が廃車となり、10年ほどの間に以下の車両が製造されました。

2000形:48両
3000形:332両
4000形:140両

3形式での増備が行われ、その合計は520両にも及んでいます。
1年間に50両ほどのペースということになりますが、現在の5000形が増備されるペースからも分かるとおり、小田急としてはかなりハイペースでの増備となっていました。

20191103_06

これらの車両の車齢が次々に30年を超えてくるのが2030年代であり、鉄道車両の寿命が30年から40年程度であることを踏まえれば、一気に置き換えの時期を迎えることになります。
そして、リニューアルをせずに40年も走らせることは難しいと考えられることから、既に対策を考えていかなければいけない時期ともなっています。

計画的な対応が必要となるこれから

車齢が30年を超える車両が続出する2030年代まで、既に10年を切ってしまいました。
1000形の未更新車は置き換えが終わろうとしていますが、車齢が40年に到達しようとしている8000形は、現在も142両が現役で活躍しています。

8000形を見ていると、5年や10年は平気で走れそうな印象を持ちますが、ここで大きな問題が発生してしまうのです。
仮にあと10年先まで走らせた場合、その頃は2030年代に突入しており、大量増備した時期の車両と置き換えの時期が重なることで、さらに置き換えなければいけない車両が増えてしまいます。
つまり、事実上8000形を今後も長期に渡って使い続けることは難しく、一時的な中断やペースダウンはありえるものの、車両の置き換え自体は継続する必要があるとみています。

肝心の2030年代の問題への対応は、3000形のリニューアルが始まったことがヒントになると思われます。
現状の動きを見る限り、リニューアルは3次車以降が対象になるとみられますが、製造から約15年で開始されている状況であり、近年としては開始時期が早くなっています。
そして、2000形と3000形の初期車が飛ばされたこと、これも重要なポイントといえるでしょう。

これらの状況はいったい何を意味しているのかについては、いくつかの展開が考えられると思います。
どうすればスムーズに世代交代が進められるのか、そのパズルを解いていくのも面白そうです。

おわりに

一気に造れば一気に古くなる、よく考えてみれば当たり前のことですが、その時期は目の前に迫りつつあります。
小田急はどのようにしてこの時期に備えていくのか、その動きが始まりつつあるのかもしれません。