従来の車両とは大きく異なる外見となり、良くも悪くも登場時から小田急ファンを騒がせることとなった3000形。
実用的な外見が採用された影響からか、車両に対する好き嫌いは分かれるようで、様々な意見を目にする車両でもあります。
大量に増備されることとなった3000形は、なぜ従来車と違う仕上がりの車両になったのかを考えてみたいと思います。
製造された時期により細かい差異が多い形式ですが、実用性を重視したと感じられる角ばった車体と、コストダウンが図られたとみられる内装は基本的に共通しています。
小田急の車両といえば、出自が異なる1800形等の一部を除き、全体的に丸みを帯びたスマートな車体が特徴の一つでした。
車体がオールステンレスとなった1000形においても、ステンレス特有のデザイン性の悪化を最小限に食い止めようとした苦労が偲ばれます。
3000形はその流れを完全に断ち切り、前面は質素なデザインにほぼ切妻、裾絞りをやめた垂直車体とされました。
スマートな車体の象徴でもあった張り上げ屋根も不採用となり、雨樋が目立つようになっています。
車内においても変化があり、天井部の化粧板が無地の白色となったほか、余計な部材が省略されています。
座席は登場当初から硬いと評判が悪く、3000形の評価を下げる要素となってしまいました。
簡単にまとめるとこのようになりますが、全体的にコストダウンが目立つ車両というのが正直な印象で、登場当時の時代背景が色濃く反映された車両となっています。
そのような中で、高度経済成長期に製造された車両が置き換えの時期を迎えつつあり、それらを大量に置き換える必要がありました。
3000形はそのような背景から生まれた車両で、JR東日本の209系のようにコストダウンが図られたように見えますが、実際にはそこまで安くなかったという実態も耳にします。
コストの実態はよく分からない部分ではあるものの、コストダウンばかりが追及されたのではなく、確かにお金をかけていると思われる部分もあるのです。
登場当時から力を入れたと感じられたのは、従来とは異なる車両の走行性能でした。
地下鉄への乗り入れを行わないのにもかかわらず、起動加速度は1000形等と同等とされ、中高速域についても従来車より性能がアップしているように感じます。
それ以外にも、従来車との併結を可能にするブレーキ読み替え装置を搭載する等、機器についてはあまりコストダウンの影響を受けていない印象があります。
車内についても、扉の内側には化粧板が貼られている等、目立つ部分のコストダウンは避けられているように感じます。
大量に車両を置き換えなければいけない中で、従来車との併結といった運用面での柔軟性を持たせつつ、性能アップを行わなければいけなかったことが、車両自体の仕上がりに影響したのだと考えています。
つまり、使えるお金がある程度決まっている中で、どこを犠牲にして削るのかとなった時に、選ばれたのが車体のデザインや座席の質だったのだと思われます。
個人の好みを別にした一般論であれば、デザイン性が劣っていることや、座席の質がいまいちなのは登場前から分かることであり、それでも選択されているということなのです。
どこに力を入れて設計するか、それが色濃く反映されて3000形という車両が生まれたのでしょう。
限られた条件の中でどのようにしていくかを考え抜いた、当時の関係者の苦労を感じずにはいられませんでした。
最新型の5000形を見ていると、様々な部分で改善が進められたことを実感し、乗っていて嬉しく感じてしまいます。
実用的な外見が採用された影響からか、車両に対する好き嫌いは分かれるようで、様々な意見を目にする車両でもあります。
大量に増備されることとなった3000形は、なぜ従来車と違う仕上がりの車両になったのかを考えてみたいと思います。
外見や内装が大きく変化した3000形
小田急で最大勢力となる3000形は、2002年2月10日に営業運転を開始した車両で、現在は346両が在籍しています。製造された時期により細かい差異が多い形式ですが、実用性を重視したと感じられる角ばった車体と、コストダウンが図られたとみられる内装は基本的に共通しています。
小田急の車両といえば、出自が異なる1800形等の一部を除き、全体的に丸みを帯びたスマートな車体が特徴の一つでした。
車体がオールステンレスとなった1000形においても、ステンレス特有のデザイン性の悪化を最小限に食い止めようとした苦労が偲ばれます。
3000形はその流れを完全に断ち切り、前面は質素なデザインにほぼ切妻、裾絞りをやめた垂直車体とされました。
スマートな車体の象徴でもあった張り上げ屋根も不採用となり、雨樋が目立つようになっています。
車内においても変化があり、天井部の化粧板が無地の白色となったほか、余計な部材が省略されています。
座席は登場当初から硬いと評判が悪く、3000形の評価を下げる要素となってしまいました。
簡単にまとめるとこのようになりますが、全体的にコストダウンが目立つ車両というのが正直な印象で、登場当時の時代背景が色濃く反映された車両となっています。
苦しい状況下で大量増備された3000形
3000形が登場した当時の日本は、長引く不況に苦しめられていた時期であり、小田急自体も複々線化事業への投資が続いている状況でした。そのような中で、高度経済成長期に製造された車両が置き換えの時期を迎えつつあり、それらを大量に置き換える必要がありました。
3000形はそのような背景から生まれた車両で、JR東日本の209系のようにコストダウンが図られたように見えますが、実際にはそこまで安くなかったという実態も耳にします。
コストの実態はよく分からない部分ではあるものの、コストダウンばかりが追及されたのではなく、確かにお金をかけていると思われる部分もあるのです。
登場当時から力を入れたと感じられたのは、従来とは異なる車両の走行性能でした。
地下鉄への乗り入れを行わないのにもかかわらず、起動加速度は1000形等と同等とされ、中高速域についても従来車より性能がアップしているように感じます。
それ以外にも、従来車との併結を可能にするブレーキ読み替え装置を搭載する等、機器についてはあまりコストダウンの影響を受けていない印象があります。
車内についても、扉の内側には化粧板が貼られている等、目立つ部分のコストダウンは避けられているように感じます。
大量に車両を置き換えなければいけない中で、従来車との併結といった運用面での柔軟性を持たせつつ、性能アップを行わなければいけなかったことが、車両自体の仕上がりに影響したのだと考えています。
つまり、使えるお金がある程度決まっている中で、どこを犠牲にして削るのかとなった時に、選ばれたのが車体のデザインや座席の質だったのだと思われます。
個人の好みを別にした一般論であれば、デザイン性が劣っていることや、座席の質がいまいちなのは登場前から分かることであり、それでも選択されているということなのです。
どこに力を入れて設計するか、それが色濃く反映されて3000形という車両が生まれたのでしょう。
限られた条件の中でどのようにしていくかを考え抜いた、当時の関係者の苦労を感じずにはいられませんでした。
おわりに
メリハリのある設計が行われた3000形でしたが、その後の車両では改善された部分もあり、反省点は次世代の車両に活かされることとなりました。最新型の5000形を見ていると、様々な部分で改善が進められたことを実感し、乗っていて嬉しく感じてしまいます。
コメント
コメント一覧 (28)
よくありがちな鉄道会社に対して「怠慢」とか言ってる世論も、
本来は日本政府に向けられるべきなんだろうなぁと、つくづく思う。
ワタシダ
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座席も1次車ならハマる人は快適な形状なんで、2次車以降もあの仕様で継続してくれればまだ良かったのにと思っています。
個人的には2次車以降の座席はそこまで忌避してはおらず、4000の方が苦手だったりしますが。
ワタシダ
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昔は何時までも疲れない柔らか座席だったのに、複々線化してから、サービスは地に落ちました。
加速性能が優れたおかげで急発進急加速急減速急停止が当たり前になりました。むかしは柔らかな運転が当たり前だったのに、今は立っていたら振り回されるのが日常です。
そういえば、少し前向ヶ丘遊園駅で緊急停止かと思う急停止がありましたが、自動アナウンスどころか、車掌のアナウンスすらなくスルーされました。けが人でなきゃ無視ですか。
昔は誇りに思う優良会社、今は何もいいところがないいいわけ会社。
ワタシダ
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ワタシダ
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ワタシダ
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LEDの案内表示機が千鳥配置だったの結構ケチったなという感じですが(^^;
ワタシダ
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ワタシダ
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他社はコストダウンの観点からドアにステンレス剥き出しの単板ガラスを使うのが主流だった一方で、化粧板付きの複層ガラスになっているなど、コストダウン一辺倒とは言えない面はありますが・・・
3000形の不評の大きな原因である座席ですが、当時、リサイクル性の観点から各社で座席の詰物がポリウレタンからポリエステルに変える動きがありましたが、当時の技術では座席が固くせざるを得ず、不評だったそうです。
2000年代後半になってから内部にSバネを入れることで柔らかくなったのだそうです。
結果、増結用中間車ではポリエステルからポリウレタンに逆戻りしています。4000形で採用されたSバネは入っておらず、やっつけ仕事感は否めませんが・・・
通常車体になったのは日車ブロック構体を採用したからという感じがします。東急車輛や川重の車体設計にしていれば拡幅車体にできたかもしれませんが、日車で製造できなくなるので、抵抗制御車置き換えのために大量製造する必要があることを考えると厳しかったのかもしれません。
ワタシダ
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こんな感じからあのデザインになったそうです。
見た目のいただけなさと裏腹に乗務員の評価は一番高いそうです。最新の5000よりも。
ワタシダ
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内装も女子トイレに紛れ込んでしまったかのような安っぽい化粧板とE231系小山車のような固い座席に他の人もボロカス言ってるドアまわりの意味不明な枠で、この車両に当たると外れクジ引いた気分になります。
そして、踏切とかで床下を見るとまー床下の安っぽいこと…台車も1000形までのアルストム台車はともかく、同じモノリンク式ボルスタレスの2000形や30000形と比べても安っぽい(=部品少なそうな)台車に見えますね。
ワタシダ
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ワタシダ
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ワタシダ
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3000形でも初期の車両はドアが幅広など当時の小田急らしい特徴がありましたがそれもいつの間にか増備車ではなくなってしまい何とも無個性な電車という印象です。
それにしても小田原がステンレス車の導入を躊躇いようやく登場した1000形でもステンレス特有のギラギラを嫌い全面梨地仕上げにしていたことを思うと新5000形の車体には時代の流れを感じます。
ワタシダ
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3000形も初期の車両は幅広の車体などで個性を発揮していたように思いますが、いつの間にかそれもなくなってしまいなんとも無個性な電車という印象です。
しかしかつて小田急がステンレス車の導入を躊躇いようやく採用を決めた1000形でもステンレス特有のギラギラを嫌って梨地仕上げにしていたことを思うと新5000形のボディーには時代の変化を禁じ得ません。
ワタシダ
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同型の座席を持つY500系などは座面にバネを入れるなど改善が図られました。
ワタシダ
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車内からだけど、ドア周りの枠が気になる。他の形式なら人一人分の凹みがあるけど、3000形はあそこが背中に来た時に痛すぎる。ドア横の手すりよりも痛い。
リニューアルでせめて内装は4000形と同等くらいにはなって欲しい。
ワタシダ
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座席や内装なども色々と言われていますが東武50000シリーズよりはマシかな、と思っています。
ワタシダ
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エアコンの臭ささえ何とかしてくれれば、取り立てて大きな不満はありません。
ただE233系も小田急線内では乗り心地良好ですので、
元から小田急の軌道の状態が良いからかもしれませんけどね。
ワタシダ
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ロマンスカーのエッセンスが投入されているかはわからんが、車内のデザインは当時にしては頑張ってると思う。
ワタシダ
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ただ現時点での小田急では8両より短い編成が増備された最後の形式であり、6両は分割併合廃止以降、短い編成しか停車できなう小田原線末端部や江ノ島線を中心に運用されることで重宝されとりますし、8両も10両の運用増加で運用範囲が狭まっとる一方で2000形とともに各停運用に運用されとる上に、3265Fを皮切りにリニューアルが行われとる様子ですからこれからも小田急の顔として君臨するでしょう。
ワタシダ
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新5000形もあのドア周りと妻のコルゲートは残念に思います。
3000形で好きなのは側面行き先表示のあの大きさ。分かりやすく、視認性の良さは特にフルカラーでそう思います。3色は分かりづらいので、フルカラーは次の停車駅も表示して欲しいです。
リニューアル改造はどのようになるのかは楽しみです。
ワタシダ
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