営団地下鉄と呼ばれ、Sマークと表現された団章が印象的だった帝都高速度交通営団。
現在は民営化されて東京地下鉄になっており、愛称の東京メトロで呼ばれることが多い鉄道です。

2004年の民営化時には、車両に掲出されているマークも切り替えられましたが、それはどのようにして行われたのでしょうか。

営団地下鉄の象徴だったSマーク

東京メトロの前身である営団地下鉄では、車両にSマークと呼ばれる団章を掲出していました。
Sマークは1953年に記章として制定され、1960年に団章となったものです。
SUBWAY、SAFETY、SECURITY、SPEEDの頭文字をSマークは表現していました。

車両によって大きさは異なるものの、Sマークは前面や側面に掲出されて目立っており、営団地下鉄の車両であるということを主張するには十分なものでした。

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小田急線内を走る千代田線の6000系についても、このように大きなSマークを前面に掲げていました。
姿だけでも地下鉄の車両だというのは分かりますが、このSマークがそれをさらに強調していたように思います。

SマークからハートMのマークへの切り替え

民営化から20年近くが経過し、東京メトロという存在が当たり前になりました。
営団地下鉄と聞けば、既に懐かしく感じるようになったともいえるかもしれません。

東京メトロでは、シンボルマークとしてハートMを採用し、ブライトブルーの背景色にMETROのMが描かれています。
Sマークと同様、ハートMのマークも車両側への掲出が行われていますが、一晩で切り替えられる状態ではなかったため、車両側で事前に準備が行われました。

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準備が終わった車両はこのような状態となっており、立体的に表現されたマークが外されていました。
6000系の場合は、ハートMのマークが掲出される位置に車体と同色の蓋がされていましたが、単純に撤去しただけの形式もありました。
側面についても同様で、民営化に備えた準備が進められていくこととなります。

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民営化が行われた4月1日には、一斉にどの路線の車両もハートMのマークへと切り替えられ、新たな時代が始まりました。
全編成が一斉に切り替えられたのかについては記憶が曖昧ですが、掲出されていない編成を見た記憶はありません。

おわりに

このようにしてSマークは消滅し、営団地下鉄も過去のものとなりました。
東京メトロの誕生から20年となる時期も近付き、時の流れの早さには驚かされるばかりです。