徹底的なリニューアルが行われ、後輩の1000形の一部に廃車が発生する中、現在も多くの車両が現役で活躍を続ける8000形。
リニューアルの際にVVVFインバーター制御車へと改造されており、足回りは3000形に近い車両となりました。

そんな8000形の中に、足回りが界磁チョッパ制御のままの編成が存在しました。
リニューアルが初期に行われた2編成が該当しますが、なぜこのような仕様差が生まれてしまったのでしょうか。

すぐに仕様変更された8000形のリニューアル

1982年度に営業運転を開始した8000形は、2002年度からリニューアルが始められました。
登場から約20年後のことであり、当時の小田急では標準的なスタート時期となっています。

5000形に続くリニューアルとなりましたが、内容はさらに拡充されており、方向幕をLED表示器に変更したことや、車内に案内表示器が設置されたのが目立っていました。
最初に施工された編成は8251Fで、同一年度内に8255Fにも施工されています。

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車内の配色が明るくなり、外見もLED表示器によって印象が変化したため、5000形以前の車両よりも更新車のイメージが強かったことを記憶しています。
そして、2003年度にリニューアルが行われた編成を見て、小田急ファンはさらに衝撃を受けることとなります。

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3編成目としてリニューアルが行われた8254Fは、VVVFインバーター制御への改造が更新内容に加わりました。
走行性能は3000形と同等になり、性能が飛躍的に向上しています。

その後のリニューアルは足回りを一新することが標準となり、結果的には初期の2編成だけが性能の異なる車両となってしまいました。
リニューアルが始まってすぐに仕様が変更されており、計画の段階で最初から盛り込めなかったのかというのが気になりますが、何らかの事情がこの時期に作用したということなのでしょう。

仕様が変更された理由を考える

最盛期には全32編成が在籍していた8000形ですが、最初の2編成だけが違う仕様でリニューアルを行った背景には、どのような事情があったのでしょうか。
開始早々に仕様が変更される展開となっており、何らかの事情が急遽発生したと考えられます。

8000形のリニューアルが始まった時期には、ブレーキ読み替え装置を搭載した3000形が登場しています。
これを機に、足回りや性能の統一を図りたいとなった可能性はあるものの、それであれば最初の2編成の段階からしていたようにも思います。
どうもタイミングとしてはおかしく、納得感はありません。

この時期の小田急で何があったのかを探っていくと、もう一つ関係しそうなできごとがありました。
下北沢付近の複々線化を進めるにあたり、都市計画の変更が2003年1月に行われているのです。
まさに8000形のリニューアルが開始された時期で、地下化に変更される予定なのは少し前から決まっているでしょうから、タイミング的には合致しています。

リニューアルが始まる前後に地下化が決まり、車両性能を向上することが得策となったと考えれば、最初の2編成だけが異なる仕様になってしまったのも納得できます。
5000形の6両は、リニューアルからあまり年数を経過せずに廃車となりましたが、これにも地下化が関係した可能性が高く、この時期に様々な変更が発生したのかもしれませんね。

おわりに

真相については分からないものの、地下化への変更は車両計画に大きな影響を与えると考えられます。
急ピッチで車両が置き換えられるようになり、小田急の変化が激しくなったのもこの頃からでした。