代々木上原から登戸までが完全な複々線となり、ラッシュ時の所要時間が短縮された小田急線。
昔は朝のラッシュ時を中心にかなりの時間を要していましたが、複々線の完成により混雑した列車に乗る時間は短くなりました。

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先行して一部が完成していた代々木上原付近を除けば、小田急初の本格的な複々線は喜多見から和泉多摩川までの2.4kmですが、この区間が完成した際には、どのぐらい所要時間が短縮されたのでしょうか。

小田急初の本格的な複々線区間が誕生

現在は立派な複々線区間が続く小田急の小田原線ですが、一昔前は全線のほとんどが複線の路線でした。
東京メトロの千代田線と相互直通運転を開始する際に、代々木上原から東北沢までは先行して複々線化されていましたが、東北沢の待避線を延長したようなものであり、本格的なものではありませんでした。

複々線化前の小田急は、朝のラッシュ時に平行ダイヤを導入しており、新宿まではかなり時間がかかる状況となっていました。
新百合ヶ丘から新宿までは45分ほどかかっており、混雑した車内で毎日耐えるのは相当な苦痛だったことでしょう。



小田急の複々線化事業は、1989年に狛江地区の工事が始まり、喜多見から和泉多摩川までの2.4kmが先行して進められました。
この区間の複々線は1997年に完成し、同年の6月23日にダイヤ改正が行われることとなります。

スピードアップが図られた1997年

短い距離ながら、本格的な複々線区間が誕生したことで、朝ラッシュ時の列車はスピードアップが可能となりました。
平行ダイヤにより、急行は途中で各駅停車を追い抜くことができませんでしたが、複々線化後は和泉多摩川から喜多見の間で先行できるようになり、5分程度の短縮が図られました。

当時のダイヤを見てみると、複々線化前は新百合ヶ丘から新宿まで45分程度を要していましたが、完成後は40分程度となっています。
2.4kmを複々線化しただけの状態でしたが、それを最大限に活かして所要時間を短縮していたといえそうです。

その後は都心方面に複々線化が進められますが、代々木上原付近を工事に伴って複線に戻した影響もあり、距離の割に所要時間の短縮効果は限定的でした。
それでも5分程度はさらに短縮されていますが、急行での速達化には限界もあったのでしょう。

全区間が完成した現在は、通過駅が多い快速急行や通勤急行が設定され、所要時間は28分程度にまで短縮されています。
45分という時代から考えると、かなりのスピードアップが図られたことになりますね。

おわりに

狛江地区の複々線化は、時間短縮という面ではかなりの効果がありました。
完成した距離は僅かなものでしたが、先行列車を抜かせるようになることには、かなりの意味があったのが分かりますね。