アイボリーの車体にブルーの帯を巻くという姿は、少し前の小田急で定番のスタイルでした。
現在は8000形のみで見られるものとなっており、ステンレスの車体にブルーの帯という姿が、現代のイメージかもしれません。

8000形の姿でさえ、やがて旧塗装となってしまいそうですが、ケイプアイボリーにロイヤルブルーの帯を巻く前、小田急はダークブルーとオレンジイエローのツートンカラーでした。
今も走る車両の中に、このツートンカラーを纏った車両はありませんが、かつての旧塗装が復活する可能性はあるのでしょうか。

4000形まで採用されたツートンカラー

車体の上下をダークブルー、その間をオレンジイエローとするカラーリングは、初代ロマンスカーといわれる1910形が初めて採用しました。
このカラーリングのスタートは特急色であり、3000形(SE)の登場まで続くこととなります。

通勤型車両では2200形が初採用し、やがて従来車にも波及していきました。
SEの登場後には、通勤型車両のカラーリングとして落ち着き、4000形まで採用が続くこととなります。

しかし、このツートンカラーが標準色となった期間は短く、1969年に2600形がケイプアイボリーにロイヤルブルーの帯を巻く姿へと変更され、5000形以降の車両には同様のカラーリングが採用されます。
ブルーの太い帯を巻くスタイルは小田急の基本となり、車体がステンレスとなった後も採用が続きました。

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新塗装への切り替えによって消滅した旧塗装でしたが、2003年には引退を間近に控えた2600形が塗装変更され、懐かしい姿で最後の花道を飾りました。
保存車両以外での姿を見ることができたのはこの時が最後で、現在は旧塗装を纏ったことがある車両さえもなくなっています。

旧塗装の車両が復活する可能性

昔の姿を再現することはできなくなっていますが、企画として旧塗装を復活させる可能性はないのでしょうか。
理由がなければ実施は難しいといえますが、小田急は2027年に100周年の節目を迎えるため、何らかの企画が行われることにはなるでしょうから、このタイミングに期待ができそうです。
80周年の際には、7000形(LSE)を旧塗装に復元しており、同じように100周年を盛り上げることができるでしょう。

塗装ができる車両という点では、8000形を旧塗装化するのが本命となりそうですが、近年はラッピングでの再現が主流になっていることを考えると、5000形で行ってみるのも面白そうです。
塗り分け自体はシンプルですから、丸みのある車両であれば比較的似合うのではないでしょうか。

問題点があるとすれば、やはり費用対効果の部分です。
100周年の節目とはいえ、盛り上がるだけでは増収に繋がらないため、スポンサーは必要になるかもしれません。
しかし、旧塗装にしただけではスポンサー側のメリットが弱く、車内に広告を出しても効果は限定的でしょう。

最近話題になった手法としては、Netflixとコラボをした黒い山手線があげられます。
東京都の条例に対応するため、1号機関車を再現した車両をNetflixがジャックする建前となっており、上手く考えられています。
費用対効果を考えつつ実施する場合には、小田急もこのような形態をとらせざるを得ないと思われますが、F-Trainの過去もあるため悩ましいところかもしれませんね。

おわりに

小田急は特別なカラーリングの車両を走らせることが少なく、周辺の鉄道会社と比較してもかなりの差があります。
その背景に何があるのかは分からないものの、収益化へと繋げる方法を考えて、賑やかになれば利用者としても楽しみが増えるように思いました。