東京メトロの千代田線を挟み、3社で行われている相互直通運転。
小田急の小田原線、東京メトロの千代田線、JR東日本の常磐緩行線が繋がっており、各社の車両が行き来をしています。

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ロマンスカーを除けば、現在は各社で1形式に整理された乗り入れ用の車両ですが、それぞれに個性があります。
各社の車両には会社の色が出ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。

3社で行われるようになった相互直通運転

千代田線を中心とした相互直通運転は、1971年に常磐緩行線と、1978年に小田原線との乗り入れが開始されました。
両端に位置する路線の車両同士は直接乗り入れず、千代田線の車両のみが3社に乗り入れを行う状態が長く続きましたが、2016年に小田急とJR東日本の相互直通運転が開始され、3社の車両が相互に行き来する状態となりました。

かつての千代田線系統は、少数派の形式や編成が多いという特徴がありましたが、2016年の開始段階では3社に乗り入れる車両が整理された状態となっています。
小田急からは4000形、東京メトロからは6000系と16000系、JR東日本からはE233系2000番台が乗り入れ、6000系の引退により現在は各社1形式となりました。

各社の車両に見られる個性

各社で1形式に絞られた現在ですが、車両にはそれぞれの会社の個性が出ており、比べてみると面白い部分です。
登場した時期はほぼ同じであり、同世代の車両となっています。

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2007年にデビューした小田急の4000形は、3社の中で最初に登場した車両です。
JR東日本のE233系をベースとしており、後述するE233系2000番台との共通点は多いものの、小田急独自の設計に改めている部分もあります。

相互直通運転以外にも、小田急線内で優等列車に充当する関係からか、余裕のある性能となっていることが特徴です。
編成の形態は6M4Tで、小田急の車両としては電動車の比率が高くなっています。
主電動機の出力は大きく、歯車比は小さくなっており、高速で走る区間への備えを感じる仕様となりました。
全密閉式の主電動機を採用し、騒音への対策が重視されており、走行音はかなり静かです。

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続いて登場したのはE233系2000番台で、2009年に投入されました。
E233系自体は2006年に0番台が登場しており、形式としては4000形よりも先輩にあたります。

基本番台を地下鉄乗り入れ用にしたもので、走行機器類は基本的に同一の仕様です。
主電動機の出力は4000形より低いものの、歯車比は4000形より若干大きくなっており、低速時の性能を重視しているといえます。

全密閉式の主電動機ではないため走行音が大きく、小田急線内で見かけるとややうるさく感じます。
編成形態は6M4Tで、やや電動車の比率が高いのは4000形と同様です。

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2010年に登場した東京メトロの16000系は、小田急やJR東日本とは異なるアルミニウムの車体が特徴です。
東京メトロらしい車両であり、車体が軽いことから走行音も軽快なものとなっています。

3社の中では主電動機の出力が最も高く、全密閉式の永久磁石同期電動機が採用されました。
特徴的なのは電動車の比率で、他の2社とは異なる4M6Tとされており、主電動機や車体の特性が活かされています。

歯車比は3社の車両の中で最も大きくなっており、地下鉄の車両らしい低速時の性能を重視した設計です。
独特な走行音が特徴であり、地下鉄の車両らしい個性が光っています。

おわりに

登場した時期はほぼ同じにもかかわらず、各社の個性が出ている車両たち。
乗り入れる列車を利用する際は、どの会社の車両が来るのかという楽しみがあり、乗り比べてみるのも面白いかもしれませんね。