地平を走る鉄道路線にとって、道路との交差をするための踏切は欠かすことができない存在です。
小田急においては、立体化の進展により減少が続いてはいるものの、現在も多くの踏切が残っています。

小田原線と江ノ島線には踏切が点在していますが、その中に渡ることができない不思議な踏切が存在します。
この不思議な踏切は、いったいどのようなものなのでしょうか。

相模大野駅に存在する不思議な踏切

小田原線から江ノ島線が分岐する相模大野には、小田原方に踏切が存在します。
しかし、よく見ると普通の踏切とは異なるもので、渡ることができない不思議な踏切であることに気付きます。

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踏切は相模大野を出てすぐの場所にありますが、柵の中にあるため近付くことができません。
門があるため、これが開いていれば物理的には渡ることができるものの、もちろん通常はかたく閉ざされています。

写真を見れば分かるとおり、踏切自体も通常のものとは様子が異なっており、気になる部分が沢山あります。
踏切には警標と呼ばれる×印の標識が普通は取り付けられていますが、この踏切にはそれがありません。
遮断機もおかしく、長さが足りていないほか、線路の反対側には遮断機自体がないのです。

不思議な踏切の正体

柵の中にあり、通常は渡ることができないことからも分かるとおり、この踏切は小田急の関係者専用踏切となっています。
踏切自体は江ノ島線の上りのみにあり、小田原線にはかかっていません。

幅はそれなりに広く、自動車が通ることも可能となっており、路面には止まれと書かれています。
線路の反対側は少し入った位置に止まれがあり、かなり手前で一時停止を求められるようです。

そして、この場所で空を見上げると、踏切の上に橋があることに気付きます。
ペデストリアンデッキから繋がる跨線橋となっており、サンデッキ相模大野と名付けられています。

跨線橋が建設される前、この場所には相模大野1号踏切があり、現在も残る不思議な踏切はその名残ともいえます。
昔は渡ることが可能でしたが、相模大野が開発されるタイミングで跨線橋に役目を譲り、廃止されています。

電車が接近すると警報音も鳴りますが、音色は通常と異なっており、箱根登山線内で耳にするものと似ているように思います。
様々な面で通常とは異なる踏切ですが、電車の中から見るとそこまで違和感はないのかもしれませんね。

おわりに

踏切がある場所には、ロマンスカーが通過する時間が書かれた時刻表が貼られており、通路を歩く乗務員の方と触れ合えることもあります。
色々と楽しいスポットとなっていますので、不思議な踏切の見学に出かけてみてはいかがでしょうか。