多くの各駅停車が折り返し、厚木市の中心的な市街地となっている小田急の本厚木駅。
本厚木を境に列車の本数が減少し、列車の運用上でも重要な位置付けの駅となっています。

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各駅停車が減ることで、本厚木を境に小田原線の列車本数は大きく減少しますが、線路の設備等による制約があり、小田原線の苦しい部分となっています。

本厚木駅で減少する列車の本数

ラッシュ時等の列車本数が多い時間帯を除き、本厚木ではかなり多くの列車が折り返しを行います。
折り返すのは主に各駅停車となっており、小田原線の各駅停車といえば本厚木行きというのは、利用者の多くがイメージするところでしょう。

特急を除くと、相模大野を基準とした現在のダイヤでの基本的なパターンは、各駅停車が6本、急行が3本、快速急行が3本となっており、1時間に12本の列車が走っています。
各駅停車は8両や10両、急行が6両、快速急行が10両となっており、優等列車のほうが短い編成という逆転現象が生じている状況です。

各駅停車は本厚木で折り返してしまうため、ここで列車の本数は1時間あたり12本から6本へと半減します。
輸送力を総両数で見てみると、各駅停車が全て8両である場合、相模大野の基準では96両分の輸送力があるのに対して、本厚木から先は48両分の輸送力しかない状況となっており、両数の面でも半減していることが分かります。
本厚木を境として、大きく輸送力が変化しているのが、今の小田原線の状況となっています。

列車の本数が減少してしまう辛い事情

多くの各駅停車が折り返す本厚木ですが、輸送力を半減させるほど利用者数の変化があるのでしょうか。
まずは、本厚木の前後にある駅も含めた、1日の平均乗降人員がどれぐらいなのかを見てみましょう。

海老名:109,773人
厚木:16,399人
本厚木:102,464人
愛甲石田:35,817人
伊勢原:39,806人
鶴巻温泉:11,662人
東海大学前:24,878人
秦野:31,787人
渋沢:20,785人
新松田:17,842人

結果はこのようになり、主要駅だけを見ていくと、海老名と本厚木が突出して多くなっていることが分かります。
本厚木で列車の本数が半減するのも仕方ないとは思う反面、愛甲石田、伊勢原と、利用者が多い駅が連続していることにも気付かされます。

利用者の変化を基準にすれば、各駅停車を伊勢原まで運転できるとよいものの、そうはなっていません。
一部の列車は伊勢原まで走りますが、まとまった本数や一定の間隔ではないため、本質的に意味がある状態ではないといえます。
せめて6両の急行の前を走る各駅停車だけでも、伊勢原を起終点として走れると混雑が少しは分散しそうですが、なかなかそうもいかないのが辛いところなのでしょう。

伊勢原で列車を折り返す場合は、下りのホームに到着し、その後逆線発車をする必要があり、現状の設備では頻繁に行うことができません。
駅の配線改良をするにしても、その投資に対する直接的なリターンがないでしょうから、なかなか難しいのが実情なのでしょう。

おわりに

本厚木は列車の本数が大きく変化するポイントとなっており、各駅停車が一気になくなることで、6両の急行が混雑することにも繋がっています。
もう少しゆるやかに列車の本数が減らせるとよいのでしょうが、現状だと難しいのでしょうね。