ほとんどの車両がステンレス車体となり、5000形の増備によって世代交代が進んでいる小田急の通勤型車両。
形式や増備された時期によって装備品は異なりますが、近年の車両はドアを閉めた際に、最初から完全には閉まらないようになっています。

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小田急ではこのタイプのドアが多く見られますが、なぜ最初から完全に閉まらないのでしょうか。

最初から完全に閉まらないドア

小田急の車両に乗っていると、ドアを閉めた際に完全には閉まっていないことに気付きます。
一見閉まったように見えるドアは、少しすき間があるような緩んだ状態となっており、数秒が経過するとそのすき間が埋まって完全に閉まります。

ドアが閉まる際にはやや独特な音がするようになっており、完全に閉まる際にはカチッという音がするのが特徴です。
小田急ではこのタイプのドアを装備している車両が多いものの、昔ながらの最初から完全に閉まるタイプの車両もあります。

物挟みを防止する戸閉弱め機能

最初から完全に閉まらないドアは、2003年に登場した3000形の3次車で初めて採用されました。
戸閉弱め機能と呼ばれるもので、ドアが閉まった直後は圧力を弱め、物が挟まった場合等に抜けやすくするためのものです。

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最初の搭載車両となったのは6両の3263Fですが、営業運転を開始したのは8両の3651Fのほうが先となりました。
当時は珍しいものであり、独特な動作音が印象的だったのを覚えています。

その後も小田急では導入が続き、8000形のリニューアルにおいても途中から追加、1000形でも継続されました。
3000形に続いて導入された4000形では、ドアに何かが挟まった際に自動で再開閉を行う機能が設けられているほか、5000形は何かを挟んだことを検知し、自動でドアを閉める力が弱くなるようになりました。

おわりに

ドアの安全性を高める機能は他社でも導入が進んでいますが、小田急は過去に乗客を挟んだ状態で電車を発車させてしまう事故を起こしており、再発防止のために改造でも導入を推進してきました。
現在はほとんどの車両に何らかの安全装置がある状態となり、保安度の向上に寄与しています。