小田急で70番目の駅として、2004年に開業したはるひ野駅。
現在のところ小田急で最も新しい駅で、開業後に周辺は閑静な住宅街として発展しました。

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近年に開業した駅としては珍しく、はるひ野は地上に駅舎が設けられました。
多摩線内では唯一のスタイルとなっていますが、地上に駅舎を設けた理由を考えてみたいと思います。

地上に駅舎が設けられたはるひの駅

黒川と小田急永山の間に設けられたはるひ野は、2004年12月11日のダイヤ改正に合わせて開業しました。
梅ヶ丘から喜多見までの複々線化が完成し、快速急行や区間準急が登場、そこに新駅の開業も加わり、何かと話題の多いダイヤ改正でした。

はるひ野は開業時からバリアフリーに配慮した設計とされており、エレベーターやエスカレーターは最初から完備されていました。
オストメイト対応型のトイレや待合室も設けられており、今では当たり前となりつつある設備が開業時から備えられています。

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このような先進的な駅ながら、はるひ野は橋上駅舎を採用しておらず、駅舎は下りホームに隣接する地上部に設けられています。
上下のホームは跨線橋で結ばれていますが、階段も含めて大きな屋根で覆われていることが特徴で、開放的な明るい雰囲気の駅となりました。

駅舎はなぜ地上に設けられたのか

改良工事等で橋上駅舎化されるケースが多い中で、新駅が地上の駅舎で造られるのは比較的珍しいといえます。
特徴的なデザインのためだった可能性はあるものの、それを理由に橋上駅舎としないのは、少々考えにくい気もします。

そこで注目したのは、駅の周辺がどうなっているのかという点です。
周囲は閑静な住宅街で、駅舎がある側には商業施設もありますが、反対側はやや事情が異なります。
上りホーム側にも住宅地はありますが、唐木田方には黒川谷ツ公園があるほか、少し新百合ヶ丘方面に進むと、京王の若葉台駅が見えてきます。

黒川谷ツ公園は自然環境の保護を重視し、開放日が限定されている公園となっており、人の出入りはそこまで多くありません。
そこに若葉台の近さも加わり、上り線側からの利用者はそこまで多くないと判断されたのかもしれません。
はるひ野には自由通路がありませんが、駅の外にはエレベーターがある歩道橋が設けられており、線路を渡ることも容易です。

一昔前であれば、地上の駅舎には改札口が片側にしかないという問題もありましたが、自動改札機を設置すればその問題は回避できるようになっており、あえて橋上駅舎にする必要はなかったのかもしれません。
橋上駅舎ではないことで、かえって駅の出入りは楽になっている面もあり、はるひ野には最適な構造だったともいえそうです。

おわりに

地上に駅舎を設置しながらも、上下線のどちら側からもアクセスはしやすいはるひ野駅。
利用者が極端に多くない場合には、このようなスタイルが意外に使いやすいのかもしれませんね。