最大10両で運転され、各車両に1ヶ所のドアが設けられている小田急のロマンスカー。
営業運転時の運用が変わり、最近は一部のドアが開かなくなりました。

開かないドアは2ヶ所のみですが、なぜこのような運用となったのでしょうか。

ホームドアの設置に伴う運用の変更

2022年11月15日より、ロマンスカーにおけるドアの運用が変更となりました。
駅での乗降時に開くドアを限定し、4号車と7号車のドアが常に閉め切り扱いとなっています。

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運用変更後はこのような状態となっており、手前の7号車はドアが開いていません。
手動ドアの車両が走っていた頃を思い出させるような、少し懐かしい光景となっています。
まだ利用者も不慣れな状態で、注意喚起のステッカーは貼られているものの、降りようとドアの内側で待っている方がいました。

このような運用となったのにはホームドアが関係しており、ロマンスカーが停車する駅でも設置を開始するためです。
ロマンスカーは通勤型車両とドアの位置が違うため、通常とは異なる開口幅が広いホームドアを導入しますが、対応しきれないドアについては閉め切ることとなりました。
本厚木では11月19日の終電後に早速ホームドアの設置が始まり、今後は主要駅に同様のタイプが設置されていく予定です。

ドアの位置に制限が生まれる今後のロマンスカー

今回の運用変更は、30000形(EXE・EXEα)と60000形(MSE)に適用されます。
70000形(GSE)は閉め切るドアがありませんが、これは登場時からホームドアに対応した位置にドアを設けていたためです。

さて、開口幅が広いホームドアの導入によって対応した従来車ですが、閉め切るドアには共通点があります。
車端部寄りにドアを設けているロマンスカーですが、編成内にはドアが隣接するポイントがあり、そこの車端部側を閉め切っています。
すぐ近くに他のドアがあれば影響は少ないため、上手に考えられているようです。

開口幅が広いホームドアの導入により、過去に登場した車両の問題は一旦解決しますが、今後登場する車両では閉め切る扱いをしなくてよい位置にドアを設けるのでしょう。
未来の新型ロマンスカーについては、ドアの位置に制限が生まれることを意味しており、GSEのような位置が標準となりそうです。

おわりに

車両からワイドドアがなくなったかと思えば、今度はホームドアにワイドドアが登場したというのも、やや皮肉な結果といえます。
小田急のように多種多様な車両が走る路線ほどホームドアを設置するハードルは高く、車両の整理が進んだことで、ようやくスタート地点に立ちつつあるというところなのかもしれませんね。