固定編成化が進み、小田急で先頭車同士が繋がる姿を見ることはかなり少なくなりました。
近年は2編成を連結したものが見られる程度ですが、かつては2両を複数編成繋いだパターンもあり、編成内に大量の先頭車が入ることで、ほとんど通り抜けができないというケースもありました。

20180811_03

通り抜けができないのは、先頭車同士の連結部で貫通幌を使わないためですが、それはなぜなのでしょうか。

貫通幌を使わない先頭車同士の連結

最近はあまり多く見られなくなりましたが、かつての小田急では先頭車同士が連結して走る姿が日常となっていました。
平成以降は8両や10両での運転が主流となったことで、編成自体が8両や10両という固定編成が増加し、先頭車同士が連結する姿は急速に減りつつあります。

小田急においては、通勤型車両の先頭車同士が連結する際、連結部に貫通幌がありません。
車両間の通り抜けはできないため、移動が必要な場合には駅での停車中に車外に出る必要があります。
ロマンスカーにおいては運用が異なり、通常は貫通幌で繋がれているため、車内の通り抜けが可能となっています。

1000形等が東京メトロの千代田線に乗り入れていた頃は、4両と6両を繋いだ10両編成が見られましたが、こちらも貫通幌は使用しておらず、緊急時以外は通り抜けることができませんでした。
かつて半蔵門線に乗り入れていた東武の30000系が、先頭車同士の連結部で貫通幌を使用していたのとは対象的といえそうです。

先頭車同士の連結時になぜ貫通幌を使わないのか

現在は見られなくなりましたが、かつては通勤型車両においても分割併合が行われていました。
多い時は1時間に8本以上を行うようなケースもあり、かなり頻繁だったと表現してもよいでしょう。

小田急が貫通幌を使わない理由には、このような頻繁な分割併合が関係していたと考えられます。
他社では分割併合を行う際にも貫通幌を繋ぐケースがありますが、分割併合を頻繁に行うためには停車時間を短くする必要があり、小田急においては難しかったのでしょう。

一方で、ロマンスカーにおいては、停車時間の課題を解決するために、自動で貫通幌を繋いだり外したりする装置が使われていますが、通勤型車両では採用されていません。
車両の組み替えを行い、先頭車を中間に入れるようなケースにおいても、完全に中間車化してしまうのが小田急の伝統になっており、先頭車の姿を残したまま貫通幌で繋ぐということもありませんでした。

現在は分割併合をしていないため、8000形等は貫通幌を設置することも可能でしたが、わざわざ改造するようなことはありませんでした。
リニューアルの際に中間車化を行っておらず、先頭車としての機能を残すことを優先したと考えられるほか、そこまでのコストを追加でかける理由もなかったといえそうです。

おわりに

車両間の通り抜けができないという問題は、固定編成化の進展によりほとんどなくなってきました。
8000形が引退する頃には、先頭車同士の連結がほとんど見られなくなるか、全く見られなくなるのかもしれませんね。