複々線化によって線路を増やし、緩急分離運転を実現した小田急。
長期間に渡って工事が行われており、平成の小田急は複々線化の歴史だったともいえます。

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立派な複々線が完成した今、高架や地下には綺麗なホームが新設されていますが、工事の過程では数々の仮設ホームが見られました。

高架化や地下化の前に見られた仮設ホーム

小田急の複々線化は、単に線路を増やすだけではなく、高架化や地下化を同時に行うことで、道路との立体交差も実現するものでした。
工事の過程においては、地上を走る状態はそのままながら、線路の位置を仮線に移動させるケースがあり、期間限定の光景がいくつも見られました。

仮線上においては、当然ながらホームも仮設のものが用意されることになり、本設とは異なる簡素な姿が印象的でした。
大規模な仮線が見られた狛江地区は、工事期間中に仮設ホームだらけとなりましたが、上屋が設けられた立派なものが用意されています。
工事の最中には、まるで地上が複々線化されたかのように見える時期もあり、未来の光景を想像させてくれたものです。

仮設ホームはその他にも見られ、線路の下でトンネルを掘る場合や、登戸のように既存の高架線上でホームが仮設になるケースがありました。
線路やホームの位置を変更しながら進められる工事を見ていると、電車を走らせながらの複々線化がどれだけ大変なことなのか、日々実感させられました。

高架化や地下化の後に見られた仮設ホーム

仮線への切り替え時に見られた仮設ホームですが、高架化や地下化が行われた後にも見ることができました。
限られた土地の中では、立体化と複々線化を同時に行うことはできないため、地上を走らせながら高架線や地下線を新設し、まずは複線のままで立体化を先行させることとなります。

このような進め方だったため、上下線が高架と地上で分かれるような状態も短期間ながら見られました。
上下線が高架に切り替えられると、片方の線路は将来の急行線を使っての運転となるため、そこに仮設のホームが設けられるのです。

地下化の際にも仮設のホームが見られ、世田谷代田のように急行線にホームが設けられたケースがありました。
本設のホームに仮設のホームを組み合わせる場合もあり、まるでパズルのように線路の位置を変えていたことを思い出します。
工事の終わりが近付くと、簡素な仮設ホームは次々に姿を消し、立派なホームへと切り替わっていきました。

おわりに

今になって思うのは、工事中に見られた様々な光景を、きちんと写真に撮っておけばよかったということです。
当時は工事中の風景があまりにも普通となっていましたが、終わった後に短期間の貴重な姿だったのだと気付かされました。