相模川橋梁に隣接し、各駅停車や準急系の列車が停車する小田急の厚木駅。
駅名は厚木ながら海老名市内にあり、厚木市内には本厚木駅も存在することで、両駅の関係はややこしいことになっています。

そんな厚木駅は、10両が停車可能な長いホームを備えながら、小田急線内では珍しくなった短い上屋が特徴です。
多くの駅が上屋の延長を行ってきた中、なぜ厚木はそのままとなっているのでしょうか。

厚木駅のホームにある短い上屋

朝夕には準急系の列車が停車するものの、日中は各駅停車のみとなり、のんびりしたムードが漂っているのが厚木の特徴です。
JR東日本の相模線と乗り換えが可能ですが、小田急ほど本数が多くないこともあり、駅構内を多くの人が行き交うタイミングは限られています。

どこかゆったりとした時間を過ごすことができる厚木ですが、そんなのんびりしたムードを醸成するのに一役買っているのが、最近では珍しくなった上屋がほとんどないホームです。
最近はホーム全体に上屋が設置されている駅が多くなり、青空の下で電車を待つ機会は少なくなりましたが、厚木では昔ながらの雰囲気が今も楽しめます。

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このように小田原方には全く上屋がなく、新宿方の階段付近にのみ設置されています。
朝のラッシュ時を想定し、上りホームにだけは長い上屋が設置されている駅も多い中、厚木は現在もこのような状態を保っています。

上屋が短くても問題になりにくい理由

昔は現在の厚木のように上屋が短い駅が多かったものの、雨天時に上屋がある場所に乗客が集中してしまい、列車の遅延に繋がってしまうという問題がありました。
そこで、朝のラッシュ時に影響が発生しやすい上りホームを中心に上屋の延長が進められ、厚木のような状態のホームは年々少なくなってきたのです。

上屋が延長されてきた経緯を考えれば、階段が新宿寄りにしかない厚木では、雨天時の影響が大きくなりそうなものですが、実際にはそうでもありません。
厚木に停車する列車は、伊勢原や本厚木始発の列車ばかりであり、駅に到着する時点ではそこまで混んでいないことから、乗客が集中する影響がそこまでないのです。
さらに、普段からある程度は新宿寄りに乗客が集まるため、雨天時にだけ集中するとはなりにくいともいえます。

当然のことながら、上屋があればよいというのはありますが、本厚木から厚木を通過する列車に乗ってしまう人も多く、長くするメリットはそこまでないのでしょう。
このような背景があり、限られた長さの上屋のままになっていると考えられますが、どこか懐かしい気持ちになれるのは私だけでしょうか。

おわりに

小田原方はすぐに鉄橋となり、電車が騒がしくそこを通過していきます。
他の駅とは少し違う雰囲気の厚木には沢山の魅力があるため、時間がある時に途中下車してみるのも面白いかもしれません。