新宿と代々木上原の中間に位置し、明治神宮の最寄駅となっている小田急の参宮橋。
2020年に改良工事が終わり、木材を多用した特徴的な駅に生まれ変わりました。

明治神宮に近いこともあり、昔からそれを意識したと思われる装いの駅でしたが、リニューアルによってどのような変化があったのでしょうか。

多摩産材を使用したリニューアル

参宮橋駅のリニューアルは、2018年11月にスタートしました。
2018年は複々線を本格的に使用したダイヤへと移行した年であり、小田急が新しい時代へと移りつつある頃でした。

リニューアルのコンセプトは、「木と緑に溶け込む『杜』の玄関口」というもので、駅周辺の緑と調和したものとなっています。
駅舎の建て替えも行われており、昔ながらの雰囲気を残しつつも現代的な外観となりました。

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改良後の駅構内は、東京の木である多摩産材が多用されており、木のぬくもりが感じられる優しい雰囲気になっています。
外観は神社建築の垂木や組木をモチーフとしており、2021年にはウッドデザイン賞を受賞しています。

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ホームに目を移すと、上屋にも木材を組み合わせた工夫がされており、柱についても木質化が図られています。
趣がある駅名板にも好感が持てますが、通常の駅名板も併設している点に考えさせられる部分もあり、分かりやすさと景観デザインを共存させる難しさを感じます。

その他にも、トイレの増設や新改札口の設置が行われており、2020年11月25日にリニューアルが完了しました。
リニューアル後のホームは電車に乗っていても目立ち、小田急線内ではかなりインパクトがある駅となっています。

赤系統の配色が印象的だった以前の参宮橋駅

まだリニューアルからは数年しか経過していませんが、以前の参宮橋駅についても少し触れておきたいと思います。
新宿から代々木上原にかけては、複々線化の対象区間ではなかったこともあり、昔ながらの私鉄駅といった雰囲気が残っていました。
隣の代々木八幡も含めて、そういった雰囲気は過去のものとなってしまいましたが、これもまた時の流れということなのかもしれません。

以前の参宮橋は、そういった私鉄らしさを残しつつも、明治神宮の最寄駅ということでやや特徴があったのを思い出します。
配色は全体的に赤系統が使われており、神宮を想起させるような装飾も施されていました。
壁面には「明治神宮下車駅」と大きく書かれており、かなり目立つものでした。

おわりに

赤系統の配色から、木をベースにした駅へとリニューアルされ、印象が大きく変わった参宮橋駅。
昔から明治神宮の最寄駅であることを意識したデザインでしたが、木を使いつつ現代的になったといえそうです。