多くの駅に整備され、雨や雪から利用者を守ってくれるホームの上屋。
小田急ではホーム全体に設けられている駅も多く、夏の陽射しが強烈な現代においては、上屋が果たす役割も増えてきているのかもしれません。

上屋は様々な年代に整備されたため、駅によって色々な形態が見られますが、古いものには意外な材料を使用したケースが存在します。

様々な形態の上屋

雨の際に傘をささずに電車の乗り降りが可能となる上屋は、増設が続けられてきました。
設置された時期が様々であり、同じ駅の中でも設置時期の違いによる形態差があり、よく見ると沢山の歴史が詰まっていることに気付かされます。



上屋に注目しながら電車に乗る人はほとんどいないでしょうが、身近にあるものだからこそ、隠れた面白さがあるのかもしれません。
多くの駅で上屋の増設が行われた結果、空を見ながら電車を待つ機会は少なくなりましたが、それだけ設備が整ったということなのでしょう。

古レールを再利用した上屋

小田急に限ったことではありませんが、鉄道の施設においては、昔ながらのものが今も使われているケースが少なくありません。
その一つが上屋に使われている鉄骨で、昔から設置されていたものに注目すると、どこかで見たような形態をしているのです。

20230129_02

写真は柿生駅の上屋に残る鉄骨を撮影したもので、H形鋼のようにも見えますが、注意してみるとレールの形状であることに気付きます。
こういった上屋は、役目を終えた古レールを使って造られたもので、他社も含めて昔は広く行われていました。
古い時代のリサイクルであり、溶かすこともなくそのままの形状で使われているのが、現代との違いといえます。

このように古レールを再利用したものは、駅舎や跨線橋、線路脇の柵等にも見られ、注意して見ていると意外な場所に今も残っています。
小田急の場合は向ヶ丘遊園が有名ですが、駅の改良等で消えていく一方であり、年々数を減らしつつある状況です。
新たに造られることはまずないでしょうから、これから先はさらに貴重なものとなっていくのかもしれませんね。

おわりに

造られてからかなりの年数が経過し、材料となった古レール自体はさらに長い歴史を刻んでいます。
今後は老朽化した施設の修繕等も行われていくのでしょうから、さらに数を減らすこととなりそうです。