新宿から藤沢と小田原を結ぶという面で競合し、ライバル関係にある小田急とJR東日本。
2001年に湘南新宿ラインが登場したことで、小田急は湘南急行の運行を開始し、後に快速急行へと発展しました。

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競合するケースは限定的であり、上手に棲み分けができているようにも感じる両社ですが、快速急行と湘南新宿ラインにはどのような違いがあるのでしょうか。

運賃の小田急と所要時間のJR東日本

特定の駅間における競合という要素が強いため、どちらを使うべきなのか迷うシーンはそこまで多くないと想定されますが、安い運賃を求めるなら小田急、早く着くことを優先するならJR東日本とよくいわれます。
この二つは比較をしてみないと分からないため、まずは運賃と所要時間の違いを確認してみたいと思います。

新宿から藤沢、または小田原までを利用した際における、両社の運賃と所要時間は以下のとおりです。

【運賃(新宿~藤沢)】
小田急:597円
JR東日本:990円
小田急(ロマンスカー):1,297円
JR東日本(グリーン車):1,790円

【運賃(新宿~小田原)】
小田急:891円
JR東日本:1,518円
小田急(ロマンスカー):1,841円
JR東日本(グリーン車):2,318円

【所要時間(新宿~藤沢)】
小田急:56分
JR東日本:50分
小田急(ロマンスカー):57分
JR東日本(グリーン車):50分

【所要時間(新宿~小田原)】
小田急:86分
JR東日本:76分
小田急(ロマンスカー):70分
JR東日本(グリーン車):76分

手段や曜日により運賃は異なりますが、土休日にICカードを利用し、事前に購入することで安くなるケースを想定しました。
所要時間も時間帯や列車で異なるため、日中の平均的なものとしています。

まず、お金の面ではやはり小田急に優位性があり、とにかく安く済ませたい場合には快速急行を使おうとなります。
時間の面ではJR東日本ですが、5分や10分の差を削りたいかという点では、人によって感覚が異なりそうです。

快適な移動のために追加料金を払うという面ではどうかというと、こちらもお金の面では小田急に軍配があがります。
このような状況であれば、圧倒的に小田急が選択肢になるのではと思いがちですが、実際には乗車駅や目的地が競合する区間外になるケースが多いため、乗り換えが不要になるという点が、JR東日本の優位性といえそうです。

その他にもある様々な違い

運賃や所要時間の比較が行われることが多い両社ですが、体感的なものも含めて他にも様々な違いがあります。
せっかくの機会ですので、そういった方面からも見てみたいと思います。

まずは距離ですが、新宿から藤沢までは小田急が55.4km、JR東日本が57.8kmとなり、小田原までは小田急が82.5km、JR東日本が90.6kmです。
つまり、距離はJR東日本のほうがあるものの、所要時間は短いということになります。

このような状況を生む理由の一つが、最高速度に違いがあるという点です。
小田急が100km/hなのに対し、JR東日本は120km/hとなっており、湘南新宿ラインはスピードを出す区間も多く、実際の所要時間以上に短く感じるでしょう。
ロマンスカーは110km/まで出すことができますが、最高速度で走れる場所や機会は限られるため、体感的には快速急行と変わらないといえそうです。

停車駅についてはどうかというと、新宿から藤沢までの場合、小田急が11駅なのに対して、JR東日本は8駅となります。
これを小田原までにすると、小田急が17駅となる反面、JR東日本は12駅と差が開きます。
小田急は快速急行、湘南新宿ラインは特別快速での停車駅ですが、快速急行は新松田を境として急行になる列車が多いため、18駅と表現したほうがよいのかもしれません。

その他にも、小田急は20分に1本程度の本数が走っているのに対して、湘南新宿ラインは30分から1時間に1本程度であり、タイミングの合わせやすさにも違いがあります。
そういった面からも、定期の有無や乗車区間で選ぶ路線が変わる要素が大きく、競合というよりは棲み分ける関係といえそうです。

おわりに

小田急とJR東日本は相互直通運転も行っているため、競合関係というよりは、よきライバルといったところなのかもしれませんね。
記事内のデータは公開時点のものであり、今後の運賃改定等により多少変化があるかもしれません。