代々木上原から登戸まで、一方向に2本の軌道が並ぶ複々線となっている小田急。
2018年度に事業が完了しており、現在は各駅停車や準急系を緩行線、急行系や特急を急行線に走らせる緩急分離運転が行われています。

複々線の完成までには長い年月を要しましたが、地区ごとに完成時期が異なるため、区間によって設備には違いが生じています。
その中の一つに騒音対策がありますが、どのような違いなのでしょうか。

狛江地区で見られる騒音対策

先行して整備された代々木上原付近を除いた場合、小田急初の本格的な複々線区間は狛江地区でした。
喜多見から和泉多摩川にかけての2.4kmが該当し、完成時には高架上に並ぶ沢山の線路に感動したのを覚えています。

住宅地を通る狛江地区では、騒音や振動を抑えるための対策が盛り込まれました。
その効果は電車に乗っていても分かるほどで、滑るように走るのが印象的です。

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狛江地区の風景はこのようになっており、吸音のためのパネルが目立つ防音壁が使われています。
薄い緑に見える側壁を初めて見た際には、よく分からないけど凄そうだなと感じました。

そして、騒音や振動への対策は軌道にも施されています。
見た目には分かりにくいものの、複々線区間には60kgレールが採用されており、ロングレールであることも手伝って抜群の安定感となりました。
弾性枕木砕石軌道等も採用されており、高架区間ながらバラストが目立っています。

強化された世田谷地区の騒音対策

騒音訴訟にも発展した世田谷地区では、さらに騒音対策が強化されました。
狛江地区では線路の両脇に側道が設けられましたが、世田谷地区では高架橋に近接する建物が目立ち、さらなる騒音対策が求められることとなります。
電車に乗っていると風景の違いを感じますが、この点が大きく作用しているのかもしれません。

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世田谷地区の高架区間を見ると、狛江地区とは少し違うことが分かります。
この区間の騒音対策は新幹線並となっており、側壁の厚さがやたらと目を引くのです。
これは側壁自体が厚いわけではなく、干渉型防音装置が設置されているためで、上部が外側に張り出した状態となっています。

軌道の騒音対策も進化し、弾性枕木直結軌道が採用されたほか、一部にはラダー軌道も使われました。
細かい砕石が散布されているのが目立ちますが、これらも騒音や振動の抑制に寄与しています。

おわりに

車両側の騒音対策も進み、小田急は本当に静かだなと感じることが多くなりました。
鉄道趣味者としては、騒音がなくなってしまうのは寂しい部分もありますが、そう感じるほどに静かというのは凄いものですね。