ロマンスカー以外では小田急で最速の列車種別で、終日に渡って多くの本数が運転される快速急行。
新宿を起点として、小田原線の小田原と、江ノ島線の藤沢までを結ぶ列車が中心となっています。

20210710_02

そんな小田急の快速急行ですが、小田原線においては新松田を境として急行に変わる列車が多いのが特徴です。
昔は多く見られましたが、現在も新宿から小田原までの全線を快速急行で走る列車は存在するのでしょうか。

新松田で急行に変わる快速急行

日中の時間帯において、新宿から小田原には1時間に3本程度の快速急行が運行されています。
新宿寄りの各駅においては、快速急行といえば小田原行きと藤沢行きというのが定番になっており、快速急行のまま小田原に到着するとイメージすることでしょう。
しかし、実情については異なっており、小田原方面とを行き来する快速急行については、新松田を境として急行に変化する列車が中心となっています。

快速急行といえば、下北沢から登戸にかけてと、江ノ島線内において急行と停車駅が異なるというイメージがありますが、2019年のダイヤ改正で開成が急行停車駅となったため、小田原寄りにおいても停車駅の差が生まれました。
急行が停車し、快速急行は通過する状態となった開成ですが、実際に開成を快速急行が通過する機会はほとんどなく、新松田を境に急行へと変化した列車が停車することから、実質的には快速急行の停車駅に近い状態となっています。

実態はほとんどの快速急行が開成に停車する状況といえそうですが、あえて急行と停車駅に差をつけておくことで、将来的な運用の柔軟性に含みを持たせているのでしょう。
一方で、利用者の目線ではやや分かりにくい部分は否めず、今後もこの状態を維持し続けるかどうかについては気になるところです。

新宿から小田原までを走破する快速急行はあるのか

多くの快速急行が新松田を境に列車種別を変更する現状において、そもそも新松田から小田原の間を快速急行で運行する列車はあるのでしょうか。
全くない状況であれば、路線図の記載内容が変更されると思われるため、存在自体はあるのだと推測できますが、実際にどれぐらい残っているのかを確認してみましょう。

まずは上り列車ですが、現在のダイヤにおいて、小田原を快速急行として発車する列車は1本もありません。
小田原を急行として出発し、新松田から快速急行となる列車は数えきれないほどありますが、小田原から新宿までを快速急行として走る列車は存在しないのです。

下り列車については、新松田から小田原までを快速急行として走る列車がありますが、平日と土休日ともに1本のみで、新松田を5時39分に出発します。
たった1本しかないことにも驚きますが、この快速急行は海老名始発の列車となっており、開成を通過するという点でしか快速急行である理由がありません。
現状においては、新宿から小田原までを快速急行として走る列車は存在しない状況となっています。

おわりに

早朝に1本のみ存在する開成を通過する快速急行は、あえて設定されている列車といえます。
今後の快速急行はどのようになっていくのか、未来の姿についても気になるところですね。