優等列車の間を縫うように走り、近距離客を中心に利用されている小田急の各駅停車。
複々線の完成によって、東京都区内では待避をせずに走れるようになり、昔に比べて所要時間が短くなりました。

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現在の各駅停車が待避をせずに走れるのは、新宿から向ヶ丘遊園にかけてとなりますが、昔に比べて所要時間はどれぐらい短縮されているのでしょうか。

新宿から向ヶ丘遊園までの所要時間

代々木上原から登戸までが複々線となり、東京都区内の各駅停車は待避をせずに走ることが可能となりました。
主要駅で優等列車に接続をするため、実際には多少停車時間が長い駅がありますが、昔に比べると所要時間が短くなったように感じます。

列車によっても異なりますが、現在の所要時間は35分程度のことが多いようで、駅に待避で長時間停車しないこともあり、昔ほど苦には感じなくなった気がします。
早朝の列車では31分というケースがあることから、日中は優等列車との接続待ちで時間をロスしている面はあるようで、利便性と所要時間のバランスには難しい部分もありそうです。

昔はどれぐらいの所要時間だったのか

昔より所要時間が短くなったと感じる各駅停車ですが、実際のところはどうなのでしょうか。
複々線化工事が本格化する前の所要時間を調べてみると、意外な事実が浮かび上がってきます。

列車による所要時間の差は今以上にありますが、日中は40分前後となるケースが多数派でした。
現在と同じ35分程度で走破する列車もあり、タイミングによる差も目立っています。
さらに、早朝の列車では30分というケースが存在しており、現在と大差がないという不思議な状況となっていました。

気になる点はさらにあり、現在の車両は昔よりも加速度が向上しており、加減速を繰り返す各駅停車においては、昔に比べて圧倒的に優位性があるのです。
途中駅での待避がなく、車両の性能も向上しているのに、所要時間の面ではそこまでの差になっていないのはなぜなのでしょうか。

理由はいくつか考えられますが、途中駅での接続待ちに加えて、安全対策や遅延防止のため、停車時間が長くなっていることや、余裕のあるダイヤになっていることが影響しているものとみられます。
また、昔は車両性能が不十分なのをカバーするため、各駅停車は必死に走っていた印象があり、それが早朝の所要時間に表れているといえそうです。

おわりに

設備や車両の性能に違いがあるものの、昔の各駅停車はその分必死に走っていたことが分かります。
時代が違うため単純に比較はできませんが、複々線化と車両性能の向上によって、それだけ余裕が生まれたということなのかもしれませんね。