新型コロナウイルス感染症をきっかけに、人々の移動に対する考え方は変化し、小田急も大きな影響を受けることとなりました。
社会が正常化しつつあることで、徐々に鉄道の利用者は戻りつつありますが、完全に元通りになることはないといわれており、厳しい経営環境が続いています。

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近年の小田急は寂しい話題が多いといえますが、25年ほど前にも似たような状況があったことを思い出します。

25年前と似ている車両の動き

50000形(VSE)の引退が近付き、ロマンスカーのブランド力はどうなるのだろう、そんなことを考える機会が増えるとともに、心配の声を耳にするようにもなりました。
VSEはロマンスカーブランドの復権を目的として登場しましたが、そもそもブランド力の低下はなぜ起こったのかを振り返ると、3100形(NSE)から30000形(EXE)への世代交代がきっかけでした。

その時期は25年ほど前で、1990年代の後半から、2000年代の前半にかけてのことです。
EXEが登場した頃には様々なことが言われ、ネガティブな意見も多かったと記憶しており、今の状況と似ている面もあるように思います。

通勤型車両においても状況が今と似ており、2600形の8両化が途中で中止されつつ、2000形の増備が行われていきます。
1000形のリニューアルが途中で中止となり、5000形によって置き換えられた状況には、やや類似点があるといえます。
2000形の増備は長続きせず、3000形へと移行することになりましたが、5000形についてはどうなっていくのでしょうか。

他にも多くある共通点と今後

車両の動きを重ねた時期は、小田急がバブル崩壊後の業績悪化に苦しんでいた時期でした。
近年は新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化しており、この点でも状況としては似ています。

車両の動きから少し遅れて、御殿場にあったファミリーランドや向ヶ丘遊園の閉園等をはじめ、グループ各社のリストラが行われました。
HOKUOの閉店や今後行われるホテルの譲渡等、過去と比較して重ねてしまう部分があります。
業績が悪化していることを踏まえれば、打ち手が似てくるのは当然なのかもしれませんが、会社を必死に立て直そうとしていることが伝わってきます。

一方で、そんな過去にも複々線化という未来への投資は続き、現在も新宿西口の再開発に投資が行われています。
子育て世代に向けた取り組み等、未来を向いた投資も忘れられてはいません。
寂しいニュースが多いのは事実でしかありませんが、しなければいけないことを必死で進めている、だからこそ過去と状況が似るのかもと気付きました。

色々と言われることは想定済で、それでも進めるしかない、それが今なのだと思います。
辛く、苦しい時期なのでしょうが、その先の未来を明るくするために、今は辛抱が必要なのかもしれません。
その時期を乗り越えた後に、VSEという素敵な車両が登場した、これもまた事実なのですから。

おわりに

立て直しが一段落する頃、小田急にはどのような未来が待っているのでしょうか。
寂しく感じてしまう話題は、未来を明るくするための動きだと考えれば、見え方も少し変わってくるのかもしれませんね。