2023年度の鉄道事業設備投資計画において、車内防犯カメラの設置を強化する方向性を示した小田急。
通勤型車両では5000形が初めて採用しましたが、今後は既存車両への設置が急がれるようです。

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防犯カメラの設置について、かなり本気で進めるつもりであることがうかがえますが、小田急には過去にもハイペースで装備を進めた事例がありました。

2025年度に設置工事の完了を目指す防犯カメラ

国土交通省が新造車両に防犯カメラの設置を義務化する方針の中、小田急は既存車両への取り付けを強化する方向性を示しました。
防犯カメラの設置率は鉄道会社によってまちまちで、小田急は中間に位置している印象です。

通勤型車両では5000形、ロマンスカーでは30000形(EXEα)に初めて防犯カメラが設置され、その後既存車両にも設置が進められています。
3000形のリニューアルにおいては、LED照明に防犯カメラを付加したものが導入され、今後はこのタイプへの交換も進められそうです。

鉄道事業設備投資計画では、2025年度の設置工事完了を目指すと書かれていますが、全車両といった記載がないため、対象車両への設置工事を完了させるという意味なのかもしれません。
灯具自体をLED化してしまった車両もあるほか、1000形をどうするのかという点も気になるところです。

過去にも存在した本気の整備

在籍する多くの車両に対して追加の整備をする事例は、2000年代にも見られました。
対象車両から漏れることで、置き換えが近いことが分かってしまう車両もあり、強く印象に残っています。

本気の整備として目立ったのは、シングルアーム式のパンタグラフへの交換と、転落防止幌の設置で、これらの整備は2000年代の前半に急ピッチで進められました。
後者は安全に関する対策であり、防犯カメラと事情は似ているかもしれません。

シングルアーム式のパンタグラフは、30000形(EXE)で初めて採用されましたが、すぐに既存車両に波及することはなく、旧5000形の5270Fがリニューアルの際に交換したのが最初です。
転落防止幌は2000形が初めて採用しましたが、当時は幌にも帯が巻かれているといった違いがありました。

2000年代に入ると、既存車両に対して大きな動きがあり、パンタグラフの交換と転落防止幌の設置が次々に行われます。
パンタグラフの交換は旧5000形以降の車両に対して、転落防止幌の設置はそれから9000形を除いたもので、これにより9000形が先に引退することが推測できてしまいました。
僅か数年で工事は終わり、小田急の本気を見せつけられたものでした。

おわりに

防犯カメラの設置が本格化し、2025年度までに設置工事の完了を目指す小田急。
全車両に設置されない場合には、昔と同様に廃車となる車両の推測が可能になるかもしれませんね。