小田急の多摩線内で最も利用者が少なく、周辺には多くの緑が残っている黒川駅。
少し歩けば里山の風景が広がっており、その変化の大きさに驚かされます。

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五月台の北口側と並び、多くの自然がある黒川ですが、なぜそのような田園風景が残っているのでしょうか。

里山の風景が残る黒川駅の周辺

新百合ヶ丘から多摩線に乗り、3番目の位置にある黒川は、多摩線内で最も利用者が少ない駅です。
全線の中でも利用者が少ない駅の一つで、2021年度は全70駅中の64位となっています。

利用者が少ないこともあり、黒川は日中を中心にかなり静かな駅ですが、南口を出るとその理由でもある豊富な緑が目に飛び込んできます。
栗平方面にはまとまった緑があり、昔に比べれば建物は増えたものの、多くの自然が残るエリアであり、黒川特有の雰囲気を作り上げています。

駅の周辺にも緑が点在する黒川ですが、少し歩くとさらに驚かされることとなり、西の方角を中心に豊富な自然が残されているのです。
この地域では農地も多く残っており、昔ながらの里山の風景が目の前に広がります。
鶴川街道を渡れば、その先には別世界があると表現しても大げさではなく、多摩ニュータウンの近くとは思えないような風景となっています。

残されている豊かな自然

里山の風景が残るエリアは、神奈川県の川崎市内にあり、市街化調整区域に指定されています。
豊かな自然は意図的に残されているものであり、沿線で進んだ宅地化から逃れることとなりました。
農業振興地域にも指定されており、谷戸田の風景を今も見ることができます。

はるひ野が近くなってしまいますが、黒川よこみね緑地という特別緑地保全地区もあります。
貴重な動植物が多く、ホタルの生息も確認されているようです。

駅の近くに広大な自然環境が残されているとなれば、利用者が増えないのは必然といえます。
近くには京王の若葉台駅もあり、同じ小田急線内のはるひ野も駅間距離が短いため、なお一層のんびりしたムードが黒川は目立つのかもしれませんね。

おわりに

一部を除いて宅地化が進んだ小田急沿線では、まとまった自然が見られる地域が少なくなりました。
住宅地のすぐそばに自然が多く残るのは貴重ともいえ、これからも末永く大切にしてほしいものです。