横浜市営地下鉄の延伸が予定され、今後大きな変化が予想される小田急の新百合ヶ丘駅。
実現性という面では、新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の減少、電気代の高騰といった不確定要素があるようですが、2030年度の開業を目指して進められています。

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新百合ヶ丘に新たな路線が繋がると、人々の移動にも変化があると想定され、小田急の混雑度にも影響する可能性があります。
具体的な進展がない、向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘までの複々線化について、影響する可能性を考えてみたいと思います。

ブルーラインの新百合ヶ丘への延伸

横浜市営地下鉄のブルーラインは、小田急の江ノ島線や相鉄のいずみ野線が乗り入れる湘南台を起点に、あざみ野までを結んでいる路線です。
あざみ野では東急の田園都市線と接続していますが、小田急にとっては近くて遠い路線といえます。

ブルーラインが新百合ヶ丘まで延伸されれば、横浜方面に行きやすくなりますが、1993年にあざみ野に到達して以降、長い年月が経過しました。
川崎市には川崎縦貫鉄道という路線の計画があり、それが横浜市営地下鉄の延伸を阻んでいましたが、計画が廃止されたことで風向きは変化します。
少しずつ延伸が現実味を帯びる中、2019年に横浜市と川崎市の間で合意が交わされ、計画は一気に具体化することとなりました。

このまま一気に進むのではないかと期待が膨らみましたが、ここ数年の社会的な変化は激しく、合意が交わされた時よりも厳しい経営環境となってしまいました。
横浜市営地下鉄も例外ではなく、今後の情勢次第では中止になる可能性がないとはいえません。
いずれにしても、新百合ヶ丘周辺に住む利用者にとってはメリットが大きく、動向が気になる方は多そうです。

小田急の複々線化に及ぼす影響

横浜市営地下鉄が乗り入れることになる新百合ヶ丘ですが、少々困った問題も抱えています。
小田急は向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘までが複線のままで、ラッシュ時の輸送力は限界に達しているためです。

東急や新幹線との接続がよくなり、小田急にとってもプラスの面があるものの、新百合ヶ丘の混雑を助長することになれば、利用者の視点ではよいことばかりでもありません。
そこで期待されるのが小田急の複々線化で、仮に新百合ヶ丘の利用者が大きく増えることになれば、将来的な可能性は多少上がるといえそうです。

横浜市営地下鉄の沿線がどの程度発展するかにも左右されそうですが、流入だけを増やすのではなく、利用者が流出する可能性もあります。
登戸で南武線を経由して田園都市線に流れていた利用者や、町田での乗り換えにも影響する可能性があり、現状で素人が延伸後の動きを予測するのは難しいといえます。
田園都市線への接続という面では、流入と流出が同じ程度となれば、結果として現状の輸送力でよいという判断もありそうです。

延伸により複々線化が前進する期待感はありつつも、そう簡単ではないというのが、現状といえるのではないでしょうか。
いずれにしても、横浜市営地下鉄の延伸が実現すれば、新百合ヶ丘付近の沿線価値を向上することには、確実に寄与することでしょう。

おわりに

新百合ヶ丘に大きな変化をもたらすと想定される、横浜市営地下鉄の延伸計画。
以前よりも実現のハードルが上がっているように感じますが、事態が好転することを願うばかりです。