現在は10両の列車が当たり前に走るようになり、昔に比べて利便性が向上した小田急の江ノ島線。
かつては4両が当たり前に走っていたため、激しく混雑する列車も少なくありませんでした。

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そんな江ノ島線ですが、列車の両数が今よりも短かった頃と現代を比較した場合、どれぐらい利用者数に差があるのでしょうか。

1992年度の1日平均駅別乗降人員

1990年代の江ノ島線は、今以上に支線らしさが強く残っており、4両で走る列車が多く存在しました。
まだ相模大野での分割併合が盛んだった頃であり、必然的に江ノ島線内を4両で走る列車が生まれていたわけですが、1998年まではそもそも10両が走れず、最大でも6両の運転でした。

そんな1990年代、江ノ島線の利用者数はどのぐらいだったのでしょうか。
相模大野を含めると、小田原線の影響が出てしまいそうなので、東林間から先の駅について、1日の平均乗降人員を見てみることにしましょう。

今から約30年前の1992年度における、各駅の1日平均乗降人員は以下のとおりです。

東林間:27,087人
中央林間:67,152人
南林間:40,127人
鶴間:22,250人
大和:102,674人
桜ヶ丘:25,629人
高座渋谷:25,765人
長後:51,170人
湘南台:46,581人
六会日大前:27,578人
善行:30,638人
藤沢本町:19,971人
藤沢:166,562人
本鵠沼:11,673人
鵠沼海岸:20,655人
片瀬江ノ島:16,641人
合計:702,153人

路線全体では約70万人という結果になり、湘南台よりも長後の利用者が多いという点が印象的です。
主要駅の利用者は当時から多く、この状況で4両が走っていたことを考えると、混雑するのは当然といえそうです。

2019年度の1日平均駅別乗降人員

今度は時計の針を現代に戻したいと思います。
利用者数を過去と比較するにあたって、コロナ禍の影響は無視できないため、少し前のデータを用いて比較してみましょう。

2019年度における各駅の1日平均乗降人員については、以下のとおりとなっています。

東林間:22,006人
中央林間:99,122人
南林間:34,021人
鶴間:30,356人
大和:118,918人
桜ヶ丘:20,242人
高座渋谷:25,520人
長後:34,294人
湘南台:92,076人
六会日大前:29,802人
善行:27,011人
藤沢本町:21,694人
藤沢:165,663人
本鵠沼:13,938人
鵠沼海岸:19,859人
片瀬江ノ島:19,828人
合計:774,350人

駅ごとの比較をするのも面白いのですが、今回のテーマではないので割愛し、合計に注目したいと思います。
1992年度が約70万人だったのに対して、2019年度は約77万人となっており、間違いなく増えてはいるものの、意外にも爆発的な増加にはなっていません。
特急を除く全列車が6両以上になり、10両も走る状態になったということは、以前よりもかなり余裕のある状態になっているといえそうです。

末端区間についても触れておくと、藤沢から片瀬江ノ島までの駅の利用者数を合計すると、その差は4,000人程度となります。
こちらについても差異はそこまで大きくなく、思っていたのとは異なる意外な結果となりました。

おわりに

単純な合計だけで比較しているため、駅ごとや区間で見ると傾向が違う可能性があることや、混雑する時間帯や季節が違うといった面もあるかもしれません。
いずれにしても、混雑した4両が走っていた路線を、今は10両が走り回っていることを考えると、江ノ島線はかなり変わったのだと改めて実感します。