新宿から小田原や片瀬江ノ島を結び、通勤や通学、観光まで、様々な輸送需要を支えている小田急線。
観光地等を満喫できるように、箱根フリーパス等のお得なきっぷが多く販売されていますが、その中に小田急線内が乗り降り自由となる「1日全線フリー乗車券」があります。

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料金は2,000円となっており、並行する京王や東急の同種乗車券よりも高めですが、なぜこの料金設定となっているのでしょうか。

全線が1日乗り放題となる乗車券

鉄道という輸送機関を使う際、途中下車をする必要がある場合には、再度初乗り運賃が発生するのが一般的です。
途中下車の回数が多かったり、行ったり来たりを繰り返すほど、運賃も高くなってしまいますが、そのようなニーズに応えるため、小田急では1日全線フリー乗車券が販売されています。

1日全線フリー乗車券は、小田急の全線が乗り降り自由になるもので、使えば使うほどお得になるタイプのきっぷです。
このようなきっぷは多くの鉄道会社で用意されており、観光客が多い路線では必須のサービスといえます。

小田急においては、小田原線、江ノ島線、多摩線の全線が対象区間となっていますが、箱根登山線等は他社線の扱いとなるため含まれません。
料金はおとなが2,000円、こどもが1,000円となっており、やや高いと感じる設定です。
おとな料金で比較した場合、同種のきっぷは京王が900円、東急が780円で、小田急は倍以上の料金設定となっています。

小田急において、このような乗り放題のきっぷは長らく不定期での販売となっていましたが、2019年から通年販売が開始され、いつでも利用することができるようになりました。

料金が2,000円となっている理由

乗り放題になるとはいえ、2,000円という料金にはなかなかのインパクトがあります。
このような料金設定となる背景には、小田急の路線が比較的長いという事情が関係しています。

例えば、新宿から小田原まで乗り通した場合、ICカードの利用で運賃は片道901円となります。
往復では1,802円となりますが、仮に1日全線フリー乗車券が1,000円だった場合、普通に乗る理由がなくなってしまうのです。

京王や東急は、小田急に比べて路線の距離が短く、全線を乗り通した場合の運賃もそこまで高くないため、その分乗り放題のきっぷも安くなります。
小田急と同様に路線が長い京急は、やはり2,000円という高めの料金設定がされており、乗り放題のきっぷは路線の距離による影響が大きいことが分かりますね。

おわりに

路線が長いことが影響し、どうしても料金が高めになってしまう乗り放題のきっぷ。
乗り放題となる区間を限定し、その分料金を抑えたきっぷを販売するとよさそうですが、実際にどれぐらいのニーズがあるのかは気になるところです。