列車種別の名称としては珍しく、近年は京王での廃止が話題となりつつも、阪急で新たに設定されたことで話題になった準特急。
特別急行を意味する特急が小田急では運行されていますが、現在準特急は設定されていません。

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そんな小田急において、ロマンスカーの3000形(SE)が登場した後に、僅かな期間だけ準特急が運行されていた時期がありました。
小田急で走っていた準特急は、どのような列車だったのでしょうか。

需要期に運行されたサービス急行

1700形が登場したことで、小田急ロマンスカーの価値が高まりつつあった1953年に、サービス急行という列車が運行されるようになりました。
新宿から小田原までをノンストップで走りながら、座席指定制で特急料金は不要となっており、まさにサービス列車だったといえます。

その特殊性を考えると当然ですが、サービス急行は毎日運行されるような列車ではなく、需要期の週末に運行されていました。
今なら臨時列車として特急料金を徴収するところでしょうが、随分と太っ腹な列車を走らせていたものです。

特急を補完する役割を担った準特急

通勤型車両との差別化は図られていたものの、初期のロマンスカーは現代のイメージとは異なる車両でした。
そんなロマンスカーの方向性を決定付けたのが、1957年に登場したSEです。

圧倒的な人気を誇るSEは増備が続き、1959年には全ての特急がSEで運行されるようになりました。
そこで、特急として走っていた2300形を格下げし、2扉のセミクロスシートに改造したうえで、準特急として運行することにしました。
同時に2320形を2編成新たに造り、合計3編成で運行することとなります。

準特急はサービス急行を格上げしたもので、停車駅は特急と変わらないものの、座席定員制の列車でした。
座席指定ではなく、サービスも特急よりは劣るといった存在で、週末に特急の需要を補う役割を担いました。
ちなみに、準特急という名称を初めて採用したのは小田急で、1960年に近鉄が続いています。

特急を補完する役割を担うことになった準特急ですが、設定されていた期間はかなり短く、3100形(NSE)が登場したことで役目を終え、早くも1963年には廃止となってしまいます。
使われていた3編成は通勤型車両へと格下げされ、たった4年ほどで姿を変えることとなりました。

おわりに

小田急が初めて設定しつつも、短命に終わってしまった準特急。
日本国内に全く存在しない時期もある準特急ですが、各社それぞれが異なる事情で登場させているのが、面白い点といえそうです。