保守作業を効率化するため、営業用車両に測定用の装置を搭載する動きが広まってきました。
小田急では2003年に検測用車両のクヤ31形を製造し、日中に検測を行うようになりましたが、車両の更新時期が近付いている状況で、営業用車両での検測に移行する可能性が生じつつありました。

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そんな中、各社の連名でリリースが出され、小田急が線路設備モニタリング装置の導入に向けて動いていることが発表されました。
営業用車両での検測に舵を切ることで、クヤ31形の今後が気になる状況となりつつあります。

小田急が線路設備モニタリング装置を導入へ

2023年6月14日のことですが、日本線路技術、小田急、東急、東京メトロ、JR東日本の各社から、連名でリリースが出されました。
日本線路技術が保線管理システムの「RAMos+®(ラモスプラス)」を開発したという内容で、その他の各社が線路設備モニタリング装置を導入することで、メンテナンスを効率化するというものです。

ラモスプラスは、線路設備モニタリング装置で得られたデータを集約し、同じプラットフォーム上で処理を行うものです。
各社が独自のシステムを構築する場合と比較して、開発費の削減が可能となることや、メンテナンスの生産性が向上するといったメリットがあるようです。

リリースの中では、小田急が全線で線路設備モニタリング装置を導入するとされており、今後営業用車両に搭載される可能性が高くなりました。
新造車両に搭載するのか、既存車両を改造するのかについては不明なものの、小田急における検測は新たなステージへと進むことになります。

気になるクヤ31形の今後

線路設備モニタリング装置の導入が発表されたことで、クヤ31形の今後がますます気になる状況となりました。
牽引車が8000形となった時点で、クヤ31形を長く使わない可能性が生じつつありましたが、今回のリリースはその点でも深い意味を持つことになります。

今後の導入予定につき、今すぐに何らかの動きがあるわけではなさそうですが、検測用の機器を更新してクヤ31形を引き続き使用する可能性については、今回の発表でほぼなくなったといえそうです。
クヤ31形を使用して行う軌道検測については、後々線路設備モニタリング装置が担うことになるとみられます。

一方で、気になる点もあります。
クヤ31形では架線検測も行っているため、それをどうするのかという問題があり、限定した用途のために残す可能性もありえるでしょう。
しかし、営業用車両で架線検測を行うことも既に可能となっているため、小田急もこれを導入する場合、それはクヤ31形が役目を終えることを意味します。
いずれにしても、クヤ31形が今後も長く使われる可能性は低くなったものと思われます。

おわりに

連名でのリリースが出たことで、先行きが心配される状況となったクヤ31形。
どのぐらいの時期に動きがあるのかは不明ですが、牽引車が8000形となった理由はこれで明らかになったといえそうです。