現在は小田急の全駅に整備され、ホームで電車が到着する際には、下がる位置を示す役割も担っている点字ブロック。
以前は黄色い線と放送していましたが、近年は点字ブロックと表現するようになりました。

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駅の放送を点字ブロックという表現に変更した小田急でしたが、車内では点状ブロックと表現しており、過渡期の状態とみられます。

点字ブロックと点状ブロック

久し振りの新型通勤用の車両として、2020年に5000形がデビューしました。
5000形には注意喚起用の放送システムが用意され、アナウンスがイケボだと話題になりましたが、表現に気になる点がありました。
ホームを歩く際の注意を喚起するアナウンスが流れた際、点状ブロックと聞こえたのです。

次の機会に耳を澄まして聞いてみても、やはり点状ブロックと聞こえました。
気になったので調べてみると、どちらの表現も存在していることが分かり、聞き間違いではないようです。



日本視覚障害者団体連合のホームページによると、点字ブロックの正式名称は視覚障害者誘導用ブロックというそうです。
考案は三宅精一氏で、当初は点字ブロックと名付けられたようで、俗称というわけでもなさそうです。

対する点状ブロックという表現ですが、危険がある箇所や、誘導対象の施設を示す際に使われているものを指し、文字どおり点が並んでいます。
線状ブロックというものもあり、これは進行方向を示すものですが、考案当初は存在せず、後に追加されました。
点字ブロックが広義な意味なのに対して、点状ブロックは狭義の意味で使われるものといえそうです。

小田急の表現における現状

駅における放送について、小田急は白線の内側という表現を過去に用いていました。
昔はホームに点字ブロックがなく、白い線が注意喚起のために引かれており、それを下がる際の目印としたためです。

やがて、ホームには点字ブロックが設置されますが、白線はそのまま残されており、しばらくは放送もそのままでした。
放送は後に変更され、まずは黄色い線という表現になりましたが、白線もしらばくは残存していたため、やや分かりにくい状態になったといえます。

黄色い線という表現は長く用いられましたが、近年になり点字ブロックという表現に変更されました。
一方で、方向を見失った場合に線路側に転落する恐れがあることから、現在は内側に一本の線を加えるようになっており、黄色い線という表現も適切になったといえるかもしれません。

駅での放送は点字ブロックとなりましたが、現在の最新型車両である5000形においては、点状ブロックという表現が用いられるようになりました。
点字ブロックが線状ブロックも包括していることを考えると、より一層正しい表現を追求しつつあるということなのかもしれません。

おわりに

点字ブロックという表現が一般的といえそうですが、他社も含めて今後はどうなっていくのでしょうか。
自動放送設備という特性上、短期間で表現方法を変えるのは難しいと思われますが、複数の表現が混在しているのも適切ではなさそうなため、点状ブロックに今後統一されていくのかは気になるところです。