弱冷房車や女性専用車を設定し、様々な乗客が利用しやすくなる環境を整えている小田急。
近年は小田急の子育て応援車も追加され、何らかの役割が与えられた車両の割合が増えてきました。

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これらの役割が与えられた車両ですが、小田原側に集中している状況となっています。
分散させたり、もう少し使いやすい位置にあったほうがよいように感じなくもないですが、なぜこのような配置になっているのでしょうか。

役割が与えられた車両の位置関係

小田急の通勤型車両には、役割を与えられた車両が3両設けられています。
登場したのが古い順に、弱冷房車、女性専用車、小田急の子育て応援車となっており、6両編成以上の車両に順次設置されてきました。

編成の両数によっても若干の違いがあり、4両編成では全てが設定なしとなり、8両編成は女性専用車が設けられていません。
リニューアルを行った3000形の6両についても、10両を組むことがなくなったことから、女性専用車の設定はなくなりました。

これらの役割が与えられた車両は、1号車が女性専用車、2号車が弱冷房車、3号車が小田急の子育て応援車両となっており、小田原側から連続する状態となっています。
時間帯や運用する列車種別が限定されていたり、乗るという面では大きな差がない車両もありますが、小田原側の端にはノーマルな車両がないことになります。

なぜ小田原側に集中させているのか

役割が与えられた車両は、編成内に分散したほうがよいと思わなくもないですが、なぜ小田原側に集中しているのでしょうか。
いくつかの事情が関係していると思われますが、順番に見ていきたいと思います。

まず、小田急は列車によって編成の両数が異なるという事情があります。
一部の例外を除き、小田急線内は6両以上で運行されるようにはなったものの、6両、8両、10両の3種類が混在しているのです。
4両と6両を繋いだ10両が存在するため、それを基準にする必要があり、設置する号車は必然的に6号車までとなります。

10両となれば、女性専用車も影響してきます。
運用をするのは、平日の朝ラッシュ時で、かつ上りの優等列車のみという限定的なものですが、分かりやすさや誤乗防止の観点からは、最後尾が最適だったのでしょう。

これに加えて、小田急は朝ラッシュ時の上りを中心に、新宿側の車両が混雑するという事情があります。
混雑している車両に設定するのを避けることで、結果的に小田原側に集まってしまったのかもしれません。
一方で、混雑している新宿側に設定したほうが、かえって混雑の分散に寄与する可能性もあり、生存者バイアスがかかっていないのかについては気になるところです。

おわりに

小田急に乗り入れる他社の車両については、弱冷房車が4号車にあるため、そこは統一したほうが分かりやすくなるように思います。
本来であれば、弱冷房車以外の車両を設けなくてよいような社会が理想なのでしょうが、それを実現できる状況にないことは、やや悲しいところでもありますね。